研究課題
医療の進歩に伴い多くの疾患の急性期治療は飛躍的に進歩したが、社会の高齢化とも相まって、日常生活への早期復帰や運動機能の回復が大きな課題となっている。PDは、中脳黒質のドパミン欠乏に伴い大脳基底核-運動皮質ネットワーク障害を呈するネットワーク病態であることが提唱されている。PDおよび関連疾患に対する治療はドパミン補充療法を含めた薬物療法が大部分であり、病気が進行すると脳に電極を埋め込んで電気刺激を行う深部脳刺激術が現在もっとも行われているが、ネットワーク病態に対して、非侵襲的治療を試みる治療は国内外でも類を見ない。我々は、PD歩行障害に対する新規ニューロモジュレーション機器を開発した。電極からの電気刺激は歩行の立脚期となる際に患側踵初期接地のタイミングで圧センサからのトリガーにより患者個人の一歩行周期に合わせて-1-+1mAの微弱電流がサイン波形一周期で誘導される(閉回路刺激)。至適周波数・位相は、前評価の際に最良のPD患者個人の最良の歩行状態(On状態)における歩行周波数として決定された数値および圧センサーからの入力後の位相差を用い決定した。既にシステム開発は終了し、2019年より特定臨床研究として最適化したclosed loop stimulationを併用した歩行リハビリテーションとシャム刺激を二重盲検で検討を行った。PD患者は、実刺激もしくは偽刺激を用いた歩行リハビリテーションを週2回×5週間、合計10回行い、歩行スピード、すくみ足スコア、体幹装着の加速度評価を行った。本刺激群で治療後で歩行スピード、すくみ足のスコアおよび加速度の左右差が有意に改善することを発見し、現在海外雑誌に投稿中である。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 5件) 図書 (2件)
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