研究実績の概要 |
研究目的:急性期脳卒中患者に、IVES(NMES)と反復末梢神経筋肉磁気刺激法(rPMS)を組み合わせた作業療法が、従来の作業療法(SC)と比較して、重度上肢麻痺の回復に有効であることを検証。急性期病院の特徴を考慮し、被験者の介入期間の違いを補正するためprogress rateを導入した。progress rateは1回介入当たりの機能回復度合いの指数として定義した(Δ各種上肢機能評価scores/session)。統計解析は、Mann-Whitney U testを SPSS ver. 26で行った。さらに、n数に依存しない効果量effect size (r 値)を算出した(r = Z/√N: N = 総被験者数)。 r値は0.1, 0.3, 0.5 でそれぞれ効果量small, moderate, large sizeと判定された。 結果:選択基準を満たした被験者は、NMES+SC群:8名(男:女=2:6; 年齢平均71.0歳±13.8)、rPMS+SC群:10名(男:女=8:2; 年齢平均64.3歳±13.1)、SC群:9名(男:女=5:4; 年齢平均72.3歳±10.7)であった。FMAのprogress rateではNMES群とSC群の比較 (Z = 2.07, p = 0.036, r = 0.50)、rPMS群とSC群との比較 (Z= 2.98, p = 0.003, r = 0.68)ともに統計学的に有意差を認めた。効果量rはどちらの場合もlarge sizeであった。WMFTのprogress rateにおいても2群間で有意に差を認め、効果量も大であった。NMES併用群とSC群よりrPMS+SC群の方が効果量は大きかった。neuromodulatorを急性期脳卒中上肢重度麻痺に適用した場合、機能回復を促進できる可能性が示唆された。
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