研究課題/領域番号 |
19K11359
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研究機関 | 帝京科学大学 |
研究代表者 |
萩原 宏毅 帝京科学大学, 医療科学部, 教授 (80276732)
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研究分担者 |
斉藤 史明 帝京大学, 医学部, 教授 (40286993)
廣瀬 昇 帝京科学大学, 医療科学部, 准教授 (60460391)
相原 正博 帝京科学大学, 医療科学部, 講師 (90736472)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | BDNF / 不活動 / 運動介入 / トレッドミル |
研究実績の概要 |
不活動により骨格筋では廃用性に筋萎縮が起こり、さまざまな ADLの低下を引き起こす。これに対して、運動療法が日々のリハビリテーションで実践されている。運動は、筋力を保ち ADLを維持するために重要であるばかりでなく、脳機能も改善させる効果がある。近年、実験動物やヒトにおいて、脳機能の生理的活性因子である脳由来神経栄養因子(BDNF)が運動により増加することが報告されている。一方、廃用性筋萎縮状態における BDNFについてはほとんど検討されていない。本研究課題は、①不活動による廃用性筋萎縮状態では BDNFはどうなるのか、②それに対して運動介入を行うと BDNFはどう変化するのか、ということを解明することを研究目的としている。実験は、野生型C57BL6マウスに対して不活動による廃用性筋萎縮状態を誘発し、それに対して通常の再荷重およびトレッドミルによる運動介入を行う方法で実施した。最終年度の今年度は、血液、骨格筋、脳におけるBDNFの動態を経時的にまとめ、不活動が BDNFに及ぼす影響と運動介入効果をまとめた。その結果、BDNFは、血中、骨格筋、脳の全てにおいて不活動で減少し、再荷重により増加、運動でさらに増加した。ただし、脳では対象群に比べて有意差は認められなかった。 BDNFの変動の大きさは、血中>骨格筋>脳の順であり、脳での変動が一番小さかった。この結果より、BDNFは活動量を反映して変動していることが明らかになった。BDNFの変動は、血中で最も大きく脳で最も小さかった。これは、BDNFには全身から分泌されるタイプとマイオカイン様に局所で分泌されるタイプがあり、各組織で異なる機序により発現が制御されているということを支持していると考えられた。本研究により、臨床での体を動かさないと脳機能は低下し、運動により改善するという経験則と、BDNFの動態が相関していることが示唆された。
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