研究課題/領域番号 |
19K11360
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研究機関 | 川崎医療福祉大学 |
研究代表者 |
高橋 尚 川崎医療福祉大学, リハビリテーション学部, 講師 (30612981)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 糖尿病 / 短時間高強度インターバルトレーニング / 血糖値 / 自発的活動量 |
研究実績の概要 |
研究の目的は、短時間高強度運動が、2型糖尿病ラットの身体機能や、血糖値にも影響する日常生活活動量へどのように影響するかを明らかにすることである。本邦において、糖尿病が強く疑われるものは約1,000万人と推定され、年間医療費は約1兆2,239億円にものぼる。糖尿病の治療としては薬物療法、食事療法、運動療法が知られている。運動療法として有酸素運動が知られているが、実施率は低く、その理由の一つとして運動時間を確保できないことが挙げられる。近年、短時間かつ高強度なインターバルトレーニング(HIIT)は、効率的に体力を向上できることが報告されている。HIITが糖尿病の治療として効果があるのなら、運動療法の実施率向上に寄与することが考えられ、健康寿命の延伸に繋がることが期待される。そこで、2020年度から2021年度にかけて2型糖尿病モデルラットに対してHIIT、有酸素運動を行った時に、運動時間以外の自発的な活動量に及ぼす影響について検討した。血糖値の改善にはNEAT(日常の生活活動によるカロリー消費)を重要とする報告がある。HIITは短時間とはいえ高負荷な運動となるため、運動時間以外の活動量が低下する可能性が考えられた。そこで、運動時間以外の自発的な活動量をNEATとして捉え、有酸素運動を行ったラットとHIITを行ったラットの活動量を比較した。自発的な活動量はケージ付き回転車を使用して記録し、血糖値の経時変化も記録した。現在実験を遂行中であるが、実験結果が明らかになることで、糖尿病患者に対する効果的な運動療法としての基礎的資料となることが考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2021年度は2型糖尿病モデルラットに対する有酸素運動とHIITが自発的な活動量に及ぼす影響の検討を終え、HIITが2型糖尿病モデルラットの抑うつ症状、自律神経活動、認知機能に及ぼす影響の検討を開始する予定であった。実験に使用している12週齢の2型糖尿モデルラットを計画していたスケジュールでは購入不可能なことがあった。本研究は数か月にわたってデータを蓄積するという実験を行っており、開始時期がずれ込むことで教育業務と並行して遂行することが困難となることが予測されたため実験を中止した時期があった。また、実験環境を変更する必要が生じたことも円滑な実験遂行に影響した。
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今後の研究の推進方策 |
進捗の遅れの原因として記した実験環境の変化に対しては、昨年度内に収拾がついたため、今後の実験遂行に大きな影響はないと考える。実験の方法と結果は、今のところ仮説から大きく外れるものではないため、今後はスケジュールの遅れを取り戻せるよう継続していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入予定としていた物品の一部が学内に現存する機器で実験に使用可能となったこと、実験の遅れによって購入予定であった消耗品の購入に至っていないことが理由で次年度使用額が生じた。今後はスケジュールの遅れを取り戻せるように取り組み、随時研究成果を発表する予定である。研究を開始する時に予定していた消耗品の多くは今年度に使用される予定であるため、今年度中に助成金を使用することが可能と考える。
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