研究課題/領域番号 |
19K11363
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研究機関 | 横浜市立脳卒中・神経脊椎センター(臨床研究部) |
研究代表者 |
高田 薫子 横浜市立脳卒中・神経脊椎センター(臨床研究部), 臨床研究部, 研究員 (30834543)
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研究分担者 |
阿部 弘基 横浜市立大学, 医学部, 助教 (40737409)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 失語症 / AMPA受容体 |
研究実績の概要 |
本邦の失語症言語治療研究では、効果サイズで高い言語治療成果は上げているが科学的に高い水準のエビデンスは認められていない。一方、労働年齢にある失語症患者のうち就労者は22%と社会的役割を失う人が多く認められ、自立歩行可能な失語症患者の社会参加も一般人口群より低い。本邦では効果検討は不十分で、また治療効果と社会参加の関係を示した報告は見当たらなかったため、横浜市立脳卒中・神経脊椎センターの麻痺のない失語症患者における言語聴覚療法の治療効果(効果サイズ)と発症前後の社会参加状況の変化の双方を研究協力者浦野雅世と共に調査した。入院時の失語症の重症度が軽度では、効果サイズなしが30%(天井効果)、小が20%、中が30%、大が20%であった。重症度が中等度では、効果サイズなし11%、中11%、大78%。重症度が重度では、効果サイズなし43%、中14%、大43%であった。効果サイズの中と大を合わせると、入院時失語症の重症度が軽度では50%、中等度では89%、重度では57%と、良好な効果サイズが得られた。一方、退院後の復職状況では軽症者ですら復職困難な状況が多く、社会復帰の厳しさを認めた。 現状では、有効な予後予測法や介入方法最適化のための脳機能画像法は保険診療では行われていないため、個々の症例に応じた最適なリハビリテーションプランの確立が困難で、このことも失語症患者の社会復帰率を低くしている要因とも考えられる。そのため、本研究ではAMPA受容体の脳内局在に注目して失語症回復機構の一端を明らかにし、失語症の生物学的指標を見出すことを目的とする、
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初は今年度中に脳卒中後の失語症患者を対象とした対象群の選定と臨床研究計画の作成を行い、倫理審査委員会での承認を得る予定であった。現在、対照群の選定は終了し、研究計画書の作成中である。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画書を作成し倫理委員会の承認を得る。その後、横浜市立脳卒中・神経脊椎センターリハビリテーション科に入院中の麻痺のない失語症患者を対象として臨床研究を実施する。 またこの研究では画像撮像のため横浜市立大学附属病院への移送を伴っている。そのため現在COVID-19対策が必要になる。研究実施者が被験者に感染させない、2病院間で互いにCOVIDー19を持ち込まない対策を取るが、病院管理者のCOVID-19対応への判断で研究が一時中止・延期となる可能性がある。
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