研究課題/領域番号 |
19K11364
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
森 隆行 東北大学, 医工学研究科, 助教 (00436148)
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研究分担者 |
岡崎 達馬 東北大学, 大学病院, 講師 (40396479)
出江 紳一 東北大学, 医工学研究科, 教授 (80176239)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 二重課題 / 歩行 / 運動機能 / 認知機能 |
研究実績の概要 |
近年、二つの課題を同時に遂行し適切な注意配分を求められる二重課題中に近赤外線分光法装置(near-infrared spectroscopy : NIRS)を用いて脳血流を測定する研究が行われている。特に通常歩行時に脳活動が測定できるウェアラブルNIRSの特徴を生かし、歩行中に二重課題を行い、前頭前野の脳血流変化を評価する研究が検討され始めている。 現在、二重課題(dual-task)として用いられている課題には、語想起課題、ストループ課題、計算課題などがある。中でも計算課題は、注意配分や注意容量の影響を受けやすい課題である。脳卒中患者を対象に、歩行中に計算課題を実行することによる歩行の変化を評価した研究から、dual-task中の歩幅が減少した群において転倒のリスクが高かったことが示されている。 高齢者は若年者よりも、姿勢制御能力が低下しているためdual-taskの影響を受けやすく、運動機能のパフォーマンス低下をもたらし転倒リスクが増加すると考えられている。しかしながら高齢者の注意機能と運動機能との関連性は解明されておらず、歩行中の前頭前野脳血流を測定し、dual-task時における運動機能のパフォーマンス評価と前頭前野脳血流との関連を評価することは、高齢者の注意配分メカニズム解明に有用であると考えられる。 そのため本研究では二重課題歩行中に近赤外線分光法装置を用いた前頭前野脳血流測定及び加速度計を用いた歩行解析を行い、脳血流変化と認知及び歩行変動の関連を、高齢群と若年群の間で比較検討することを目的とする。 二重課題歩行中の運動機能と認知機能の研究に関するプロトコルを作成し、東北大学医学系研究科倫理委員会の承認を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
二重課題歩行中の運動機能と認知機能の研究に関するプロトコルを作成した。予定症例数は、健常高齢群18例、健常若年群18例の計36例とした。近赤外線分光法装置を前額部に装着し脳血流を測定する。近赤外線分光法装置を前頭部に装着して半径3mの円に沿って自由な速度で歩行する平地歩行条件と、ウォーキングマシーン上で一定の速度で歩行するウォーキングマシーン歩行条件を行う。二重課題は計算課題を用いる。東北大学医学系研究科倫理委員会に申請した結果、研究を遂行する承認を得た。
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今後の研究の推進方策 |
東北大学医学系倫理委員会にて承認を得たので、今後の方針としては、研究保険に加入する。二重課題歩行中に近赤外線分光法装置を用いた前頭前野脳血流測定及び加速度計を用いた歩行解析を行い、脳血流変化と認知及び歩行変動の関連を、健常高齢群18例と健常若年群18例の間で比較検討する。 脳血流については、被験者因子(高齢群、若年群)、前頭前野の位置因子(右前頭前野、中央前頭前野、左前頭前野)、コンディション因子(立位、平地歩行、ウォーキングマシーン歩行)の3元配置分散分析を用い、分散分析の事後検定としてボンフェローニ法で多重比較検定を行う。 加速度については、X軸、Y軸、Z軸の値を二乗平均平方根として算出し、各群における平地歩行条件とウォーキングマシーン歩行条件でt検定を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の計測を行うために研究保険への加入が必要となり、その支払いに当てる。これに加えて、計測を開始するにあたり、測定時における近赤外線分光法装置と加速度計に関する消耗品が必要である。各被験者への謝金として、健常高齢群18例、健常若年群18例の計36例の謝金も必要とするため。
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