歩行中に計算などの課題を同時に行う二重課題歩行は、認知及び運動機能のパフォーマンスの低下を引き起こすことが知られており、前頭前野脳血流を測定することで歩行中の注意機能を評価することができる。本研究では二重課題歩行中に近赤外線分光法装置(near-infrared spectroscopy : NIRS)を用い前頭前野脳血流測定と加速度計を用いた歩行解析を行い、脳血流変化と認知及び歩行変動との関連の検討を行うこととした。 2020年度には二重課題歩行中の運動機能と認知機能の研究に関するプロトコルを作成し、東北大学医学系研究科倫理委員会承認を受け、20名の被験者に対して二重課題歩行中の脳血流測定と加速度計の歩行データの取得を完了した。そこで本年度においては、まずこれらのデータ解析を行い、その結果に基づいて新たな計測プロトコールを検討することとしていた。脳血流についての解析では、前頭前野の位置因子とコンディション因子の2元配置分散分析を用い、分散分析の事後検定としてボンフェローニ法で多重比較検定を行い、加速度については、X軸、Y軸、Z軸の値を二乗平均平方根として算出した合計値を求め、各群における平地歩行条件とウォーキングマシーン歩行条件でt検定を行うことを予定していた。
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