| 研究課題/領域番号 |
19K11365
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| 研究機関 | 富山大学 |
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研究代表者 |
石黒 幸治 富山大学, 附属病院, 理学療法士 (90811258)
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| 研究分担者 |
西条 寿夫 富山大学, 学術研究部医学系, 教授 (00189284)
野口 京 富山大学, 学術研究部医学系, 教授 (10242497)
中辻 裕司 富山大学, 学術研究部医学系, 教授 (20332744)
小西 宏史 富山大学, 附属病院, 医員 (30816012)
道具 伸浩 富山大学, 学術研究部医学系, 助教 (60401824)
山本 真守 富山大学, 附属病院, 大学院医員 (80816025)
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| 研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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| キーワード | パーキンソン病 / 経頭蓋直流電気刺激 / ニューロメラニン |
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| 研究実績の概要 |
本研究の主目的は、パーキンソン病患者の認知運動機能に対する経頭蓋直流電気刺激療法(tDCS)の有効性を科学的に解明し、新しい治療法を開発することである。今年度は同意の得られた３名の被検者が本研究に参加し、前頭極(陽極)と視覚野(陰極) をtDCS刺激した（１mA/９００秒間、１回/日、５回/週、２週間：合計１０回)。治療前後の行動学的変容はMMSE・TMT・UPDRS・STEF・TUGを用いて評価し、全ての被験者において認知運動機能は改善もしくはやや改善した。さらに、１名の被験者において治療前後における中脳黒質のドパミン細胞の可塑的変化をニューロメラニン-MRI (NM-MRI)にて解析した結果、同領域のドパミン細胞の存在領域が、治療前43.2 mm2 から治療後53.2 mm2に増加した。パーキンソン病に対するtDCS治療には一定の効果を示す報告は多いが、治療前後でのドパミン細胞の可塑的変化を示す結果は、本研究結果が世界初の報告である。この結果は、tDCSを用いたリハビリテーションがパーキンソン病の新しい治療法となる可能性を示唆するものである。現在までに、研究結果の一部を、日本国内の学術大会での発表(第１０回日本ニューロリハビリテーション学術大会、第１３回国際リハビリテーション学術大会)に演題申請し、第３５回東海北陸理学療法学術大会では招待講演「教育講演」を行った。現在、これらの取り組みを症例報告として国際誌へ投稿を予定している。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究で用いるtDCSは未承認機器を使用しているため、法令の改正により従来の「人を対象とした臨床研究」から「特定臨床研究」への変更を余儀なくされ、申請から承認まで約 6ヶ月(令和元年8月-令和2年2月)を要し、その間は研究が行えず、被験者数が少なかった。また、運動誘発電位による錐体路の可塑的変化の検証については、磁気装置に特性上の制限があることが判明し(刺激コイルが円形コイルであるため、関心領域を選択的に刺激する条件設定が難しい)、予備実験に多くの時間を要した。一方、パーキンソン症状改善の生理学的メカニズムとして中脳黒質ドパミンニューロンの可塑的回復が示唆されるデータが得られ、国内外の学術大会での公表ならびに国際誌への投稿を予定している。また、これまでに行ってきたパーキンソン病を含む神経筋疾患全般に関する所見をまとめて著書として公表した。
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| 今後の研究の推進方策 |
研究分担者（主治医）からPD患者の入院予定情報を収集し、入院後は一両日中に認知運動機能の検査を実施する。その上で、対象基準に適合した場合には、本研究の趣旨を説明し、同意の得られた場合は、すぐに研究を開始することで被験者数を確保する。
令和2年3月にMEPの刺激コイル（8の字）が納入されたので、研究計画に則り、運動誘発電位による錐体路の可塑的変化の検証を行う。また、MRIを用いたニューロメラニン の解析については、未だ確立されたものはなく、引き続き詳細かつ正確な解析方法を模索する。さらに、PDでは黒質の変性によって各脳領域間でのネットワークに異常が生じることから、MRI画像の応用的な解析も追加することで、病態の理解と新しい治療法の開発に繋げる。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
画像解析に使用するPCとソフトの購入を慎重に検討しており、2019年度には購入していない。また、本研究で使用する治療機器に関わる消耗品が予想以上に少なかった。
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