研究課題
本研究の主目的はパーキンソン病患者の運動機能障害に対する経頭蓋直流電気刺激療法(tDCS)の有効性を科学的に解明し、新しい治療法を開発することであ る。tDCSによる脳刺激は、前頭極(陽極)と視覚野(陰極)を、1mA × 900秒間/回、合計10回(5回/週×2週間)行い、治療前後の行動学的変容を UPDRSとTUGを用いて評価し、生理学的変容を中脳黒質緻密部内のニューロメラニン量(ニューロメラニン MRIにて撮像)とした。先行研究で我々は、前頭極(FPA)への経頭蓋直流刺激(tDCS)がパーキンソン病患者の運動障害を改善することを報告したが、2週間の前頭極への陽極tDCSを併用したリハビリテーション前後におけるドーパミン作動性ニューロンのneuromelanin(NM)イメージングの変化についての検証は世界初の試みであり、動物を対象とした研究では、ドーパミンの増加を示唆する報告は散見される程度であった。研究期間中に行った症例では、tDCSを併用したリハビリテーションを行うことによって、運動機能だけでなく非運動症状も改善させ、中脳黒質緻密部内のneuromelanin量も増加させることができた。一連の介入によるneuromelaninの増加を明らかにし、ドーパミンの増加を示唆できた成果は大きく、最終年度ではこれらの成果を神経科学に関する国際誌に投稿し(以下)公表することができた。Ishikuro et al. A Parkinson’s disease patient displaying increased neuromelanin-sensitive areas in the substantia nigra after rehabilitation with tDCS: a case report. Neurocase. 2021.
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Neurocase
巻: 27 ページ: 407~414
10.1080/13554794.2021.1975768.