研究課題
本研究は、「血液透析患者に対する身体機能管理システムの効果」を多施設において前向きに検証する計画を立てた臨床研究であったが、2020年4月からの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大が3年間以上にも及び、感染対策上の観点から3施設に絞ってデータを採取してきた。また、上記のCOVID-19の影響から前向き調査データのみではデータ数が少なく、効果を検証する解析が困難であることから、起点コホート、すなわち本研究開始以前の過去のデータならびに、横断研究も含めながら解析を進めてきた。その結果、2023年度には新たに6編の原著論文(英文)がアクセプトされ、5年間(2019年度から2023年度)でアクセプトされた論文(原著、査読付き、英文)は20編以上にも及び、多くの成果が得られている。特に、この身体機能管理システムの評価項目には、身体的フレイルに象徴する身体機能評価のみならず、精神的フレイルならびに社会的フレイルを評価する項目を取り入れ、その重要性が検証されたことは大きな成果であった。つまり、維持血液透析治療を受けている慢性腎臓病患者の身体機能を定期的に管理すること自体は短期・中期的には、日常生活活動(ADL)や生活の質(QOL)に効果的に働くが、長期的には生命予後(再入院や全死亡)に影響を与えることが明らかであり、また身体的側面を管理するには抑うつ症状などの精神的側面、さらには家族の支援など社会的側面の評価を管理システムに取り入れることの重要性が示された。これらの成果は、腎代替療法を開始した腎疾患患者のみならず、腎代替療法を導入する前(保存期)の患者に対する腎臓リハビリテーションを効果的に展開するうえで重要な情報になり得ると考えられた。
すべて 2024 2023
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 5件)
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