研究課題
本研究は、心血管疾患患者における心筋骨格筋フレイル評価と新たな心臓リハビリテーション(心リハ)の開発を目的とした前向き研究である。今年度は、2015年11月から2016年12月に回復期心リハに参加した255名(平均年齢75±6歳、男性67%)を対象とし、心リハ開始時に介護保険制度で用いられている基本チェックリスト(KCL)でフレイル判定を行い、フレイル群(F群:99名)、プレフレイル群(PF群:81名)、非フレイル群(NF群:75名)の3群に分類し、状態不安と特性不安について比較検討し、KCLの構成因子との関連も検討した。3群間で年齢、開始時基礎心疾患、また冠危険因子の保有率については有意差を認めなかった。NF群と比較してPF群、F群では、KCLの抑うつ気分の項目は有意に高値であった。NF群と比較して、状態不安はF群で有意に高値であり(P < 0.001)、特性不安はPF群とF群ともに有意に高値であった(all P < 0.001)。また、状態不安と特性不安はKCLスコアと有意な正の相関を認めた(r = 0.32, r = 0.41, P < 0.001)。フレイル患者では、抑うつのみならず不安レベルにおいても関連を認めた。プレフレイル、フレイルを併う患者に対して、抑うつのみならず不安に対するアプローチも必要であることが示唆され、精神心理的フレイルと身体的フレイルとの間には双方向性の危険因子をもつ可能性より、精神心理的フレイルを含めた介入が新規プログラムの開発に重要な一要素と考えられた。
2: おおむね順調に進展している
次年度の研究計画であった、フレイル、プレフレイルの実態調査およびその病態解析についてはおおむね順調に遂行することが出来た。またプログラムの有効性を評価することも合わせて遂行中である。最終年度は、画像評価と合わせて病態解析を進めていく。
今年度に得られた結果を基に、引き続き症例登録を継続する。次年度以降、画像評価を予定し、病態解析を進めていく。
今年度は画像検査の実施が少なく、また学会発表はWeb開催であり次年度に予算を移行した。次年度のリハビリ機器、画像評価、論文投稿で使用予定である。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)
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