研究課題
本研究は、心血管疾患患者における心筋骨格筋フレイル評価と新たな心臓リハビリテーションの開発を目的とした前向き研究である。今年度は、フレイルの一要素である栄養状態の長期予後への影響を検討した。具体的には、2017年3月から2019年9月に回復期心臓リハビリテーションに参加した、慢性心不全患者連続119例(平均年齢 71.5±13.5歳、男性 66例)を対象として、心臓リハビリテーション開始時に簡易栄養状態評価表(MNA)にて栄養状態を評価し、2023年9月までの全死亡および心血管疾患(CVD)イベント発生の有無を調査した。67例(56%)に栄養不良またはそのリスクを認めた。追跡期間は48カ月間(中央値)で、37例のイベント発生を認めた。いずれのイベントの発生も栄養不良群またはそのリスク群で有意に認めた(全てP <0.01)。またイベント群と非イベント群では、年齢、ヘモグロビン値およびMNA総スコアに有意差を認めた(t=-3.42、3.04、3.16 全てP <0.01)。Coxハザード回帰モデルを用いた多変量解析の結果、死亡イベントにおいてはMNA総スコア(ハザード比 0.79、95%信頼区間 0.66‐0.93、P <0.01)が、全死亡およびCVDイベントにおいてはMNA総スコアと年齢が独立予測因子(ハザード比 0.86、1.05、95%信頼区間 0.78‐0.95、1.02‐1.08、全てP<0.01)であった。回復期心臓リハビリテーション参加患者における開始時のMNAを用いた栄養状態評価は長期予後の独立した予測因子であった。
4: 遅れている
フレイルの実態調査として、低栄養の長期予後に対する影響について調査を遂行することができ、その病態解析については順調に遂行することが出来た。骨格筋に対する画像評価数が不十分であり、最終年度はさらに症例を重ねていく。
今年度に得られた結果を基に、次年度以降、画像評価の症例登録を継続して行い、病態解析を進めていく。
本年度は、SRL検査の実施がなかったため次年度に予算を移行した。次年度のSRL検査で使用予定である。
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Cardiology Research
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