研究実績の概要 |
2020年度は、健常者を対象に腸内細菌組成と痛みの感受性、心理因子との関係についてデータの収集と解析を行った。その結果、若年の男性では圧痛覚は、Bacteroidetes門の保菌率と有意な負の相関を、Firmicutes門の保菌率とは有意な正の相関を示した。また、Aδ線維の電流知覚閾値は、Firmicutes門と有意な相関を示した。一方、心理状態と痛覚の間には有意な相関は見られなかった。このことから、若年の男性では急性痛覚と腸内細菌層の組成には関係性があると考えられた。この研究結果は下記の学術誌で公表した。 Shiro Y, Arai YC, Ikemoto T, Ueda W, Ushida T. Correlation Between Gut Microbiome Composition and Acute Pain Perception in Young Healthy Male Subjects. Pain Med. 2020 Dec 1:pnaa401. また、2021年度に予定していた運動による痛み知覚の変化と腸内細菌叢組成の関係についても2020年度に実施した。健常者30名を対象に6週間の運動介入を行い、その前後での腸内細菌組成および痛みの感受性の変化とその関係性について調べた。その結果、腸内細菌叢組成や痛みの感受性に有意な変化は確認できず、これらの関係性は明らかとならなかった。
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