研究課題/領域番号 |
19K11382
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
伊藤 英明 産業医科大学, 医学部, 講師 (30609201)
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研究分担者 |
松嶋 康之 産業医科大学, 医学部, 准教授 (10412660)
佐伯 覚 産業医科大学, 医学部, 教授 (20269070)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 脳卒中後片麻痺 / 脳由来神経栄養因子 / 遺伝子多型 / 成熟型 / 亜急性期 / 慢性期 / 日常生活動作 |
研究実績の概要 |
脳卒中亜急性期は34症例、脳卒中慢性期の経頭蓋直流電気刺激(tDCS)の研究は9症例(クロスオーバー6症例、刺激群のみ3症例)が終了した。 亜急性期脳卒中の34例については、遺伝子解析の結果、遺伝子多型(SNP)なしが7例、遺伝子多型あり群が27例であった。成熟型血清BDNF濃度は研究参加時(発症約3週間)ではSNP(-)群が20.7 ±3.3ng/ml, SNP(+)群が22.7±1.3ng/mlであり、研究参加から3週間後ではSNP(-)群が22.3±3.4ng/ml、SNP(+)群が20.8±1.2ng/mlであったが、いずれも明らかな差は認めなかった。 日常生活動作について自立群(FIM≧115)と非自立群(FIM<115)での血清成熟型BDNF濃度の比較では、研究参加時(発症約3週間)自立群(4例)が24.5±2.2ng/ml、非自立群(29例)が21.7±1.4ng/mlであった。さらに3週間後では自立群(8例)が22.8±2.0ng/ml、非自立群(25例)が20.6±1.4ng/mlであった。どちらの時点でも自立群の血清成熟型BDNF濃度が高い傾向にあったが、有意差は認めなかった。また研究参加時(発症約3週間)のSNP(-)群はFIMが85.1±9.2点、SNP(+)群では80.5±4.9とSNP(-)群のADLの平均が高く、さらに3週間後でもSNP(-)群はFIMが98.9±9.3点、SNP(+)群では94.3±4.6と同様の傾向であった。 麻痺側上肢のFugl-Meyer Assessment(FMA)では研究参加時(発症約3週間)ではSNP(-)群は43.7±8.5、SNP(+)群では41.3±5.1、さらに3週間後ではSNP(-)群は50.4±6.8、SNP(+)群では47.6±4.9と両時点においてSNP(-)群の平均が高い結果であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
亜急性期脳卒中症例については当初の目標症例数の30症例を超えて34症例が研究参加および研究終了することができた。遺伝子多型の有無についての解析および血清成熟型BDNF濃度の測定も終了しており、順調に研究が進んだと考えている。 慢性期脳卒中片麻痺症例に対する経頭蓋直流電気刺激の研究については、目標30症例に対して9症例であり、今後も研究参加を募って継続する予定である。慢性期の研究参加症例の不足については、COVID19感染による入院制限などの影響を大きく受けたと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
亜急性期脳卒中症例については目標症例数に達したため終了予定としている。 慢性期脳卒中片麻痺症例については、現時点で9症例の研究参加が終了しているが、目標症例数を30症例としているため、今後も研究参加を募って継続予定としている。一定数が終了した時点で遺伝子多型や血清BDNF濃度の計測および臨床データを含めた解析を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
慢性期脳卒中症例に対する経頭蓋直流電気刺激の研究に関して解析および計測が必要な可能性があるため残額が生じたことが主な原因である。また亜急性期については解析および計測が終了したため、今後研究成果の発表を予定している。
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