脳卒中患者において、仮想現実にて速度誤認識を形成させた際の後進歩行の介入効果に関する研究を行った。実際の歩行速度と事前に提供された仮想現実(Virtual Reality;以下VR)の歩行映像に、意図的に速度差をつけ、速度の誤認識を形成させた直後、後進歩行練習を実施した。この介入方法について、歩行やバランス能力に関する効果について検証すべく、ランダム化比較対照試験を実施した。対象は歩行可能な脳卒中患者41名で介入群19名、対照群22名でランダムに割り付けた。介入期間は3週間として、歩行速度や歩数、移動性指数、バランス能力をアウトカムとして効果を比較した。結果、介入群が対照群と比較して、Berg Balance Scale、Rivermead Mobility Index、歩行速度に有意な改善が認められた。結論として3週間の介入を結果、Berg Balance Scale、Rivermead Mobility Index、歩行速度の有意な改善が認められ、回復期脳卒中患者に対するVRと後進歩行を組み合わせた介入は、モビリティの改善に有効である可能性が示唆された。 また、仮想現実にて速度誤認識を形成させた際の後進歩行の介入効果に関する検討として、実際の歩行速度と事前に提供された仮想現実(Virtual Reality;以下VR)の歩行映像に、意図的に速度差をつけ、速度の誤認識を形成させた直後、NIRSによって脳血流量を測定した結果でも、前頭前野等の活動性向上が認められた。成果としてJournal of Physical Therapy Scienceに投稿し掲載された。 上記以外に、仮想現実と後進歩行を組み合わせた研究は英語論文2,学術大会3つで成果を発表した。
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