研究課題
基盤研究(C)
本研究では,動作時に増強し変動する足部の痙縮を定量的かつリアルタイムに計測する装置を試作した.全周型のプラスチック製短下肢装具を利用し,その内側7か所に小型圧力センサーを設置した.健常者3人を対象に,同装具を装着の上,その中で足を随意的に内反・底屈へと最大努力で動かしてもらった.その結果,母趾球背側,小趾球底側,足関節前面の3か所で,随意的内反・尖足運動に連動した応力が捉えられた.目標とする装置は,このような方法を利用して開発できる可能性があることを見出した.
リハビリテーション医学
痙縮は,中枢性運動麻痺の後遺症者の日常生活の自立度,社会参加意欲,生活の質を低下させる一因であり,その治療にはリハビリテーション科も積極的に取り組んでいる.痙縮の重症度や治療効果の臨床的評価法は従来,安静時に評価する方法が一般的だが,痙縮に悩む患者の主訴は動作時にも多い.痙縮は動作時に増強する特徴があるため,臨床的には動作時の痙縮を実測すべきところだが,現在,臨床に広まるような方法がない.今後は,本研究結果を第一歩に,目標とする計測装置のプロトタイプの製作を進めたい.