研究課題/領域番号 |
19K11408
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研究機関 | 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター |
研究代表者 |
石原 眞澄 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 老年学・社会科学研究センター, 研究員 (70759597)
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研究分担者 |
大沢 愛子 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 病院, 医長 (10388944)
櫻井 孝 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, もの忘れセンター, センター長 (50335444)
荒井 秀典 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 理事長 (60232021)
斎藤 民 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 老年学・社会科学研究センター, 部長 (80323608)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ダイアド・アートプロフラム / 気分改善プログラム / ポジティブ心理学 / 無作為化比較試験 / ポジティブ介入 / うつ予防 / 認知症予防 / 社会参加型自己表現プログラム |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、軽度認知症者と介護者の関係性の回復による気分改善を目的としたダイアド(対)・アート・プログラムの新規開発を行い、無作為化比較試験による検証を実施し効果を明らかにすることである。さらに、本研究結果に基づき、臨床及び地域に応用するためのダイアド・アート・プログラムのマニュアル作成を行う。研究は、3年間の実施を予定し次の通り計画した。 【2019年度】研究1-1:文献調査、1-2:介入プログラムの開発、1-3:質問紙項目の選定、開発プログラムの実施可能性に関する検討を行う。 【2020年度】研究2:軽度認知症患者とその介護者を対象にした無作為化比較試験により効果評価を行う。 【2021年度】研究3: ダイアド・アート・教育プログラムのマニュアル化とともに研究総括を行う。 初年度となる2019年は、 ダイアド・アート・セラピー及びコラージュ療法における気分改善、心理作用についての文献調査を行いその有効性を確認した。介入プログラムの開発は、平成28-30年科学研究費「対話型写真鑑賞プログラムの認知症予防効果:無作為比較試験による検証」において経度認知症の方を対象に最終年に実施した予備的研究の結果から確認した実施可能性に基づき、プログラムの再検討を行い修正を加えて開発プログラムを完成した。2019年度の業績は、2018年度に実施したダイアド・アートプログラムの予備的介入結果や今年度行った文献検討、プログラムの再検討に基づき論文を作成し国際ジャーナルにおいて発表を行った。また、内外の学会において発表し、協力研究者と共に社会にフィードバックすることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年度に計画した1.文献レビュー、2.ダイアド・アートプログラムの開発、予備的研究の結果を踏まえさらに開発プログラムを完成し、論文にまとめ国際ジャーナルにも発表することができた。また内外の学会においても積極的に発表を行い当初の予定通り完了した。2020年に計画した無作為化比較試験は、国立長寿医療研究センターのもの忘れセンター外来に通う65歳―84歳までの軽度認知症患者男女50人とその介護者50人を対象に、先行研究(石原ら,2018)に基づき軽度認知症患者を介入群25人、コントロール25人に層別ブロックランダム化法による6人1グループの無作為割付により選定を行い、予定より早く2019年12月より募集を開始した。2月より1グループ(介入群3人・コントロール群3人)のプログラム実施を開始したが、新型コロナウイルス感染拡大を懸念して関係者の健康・安全面を第一に考慮して、やむなく介入群の実施の中断を決定した(コントロール群は引き続き通信写真課題プログラムを実施)。その後、新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づく緊急事態宣言の発令により、2019年3月時点で再開の目処が立っていない。2019年度はおおむね順調に進展してきているが、2020年度以降の介入実施に関しては、再開後も参加者の健康と安全面を考慮し慎重に対処しながら進めてく。
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今後の研究の推進方策 |
2年目となる2020年度は、軽度認知症患者とその介護者を対象にしたダイアド・アートプログラムの無作為化比較試験を引き続き実施するが、開始時期は新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言が解除となり、当センターの指示を仰ぎながら改めて募集を開始することとなる。介入は、参加者の健康と安全面を最大限に重視しして感染予防環境を整えて実施を行う予定である。開発プログラムによる無作為比較試験の検証が終了し次第、心理および認知機能に関する検査のデータ整理、解析を行い、得られたデータから論文化を進め、研究成果を国内外の学会発表・学術雑誌への投稿を行うとともに、講演や実践などで社会にフィードバックしていく。 2021年度は、気分改善を目的としたダイアド・アート教育プログラムを社会に広く普及するために、研究の知見をまとめてマニュアル化を行うとともに研究総括を行う。さらに、研究成果を国内外の 学会発表・学術雑誌への投稿を行うとともに、講演や実践などで社会にフィードバックしていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)現在、国際ジャーナルに論文を投稿中であり、その投稿費用として予定していたが年度末までに掲載の確定の返事が間に合わず今年度中に使用することができなかった。
(使用計画)国際ジャーナルに掲載が決まり次第、論文投稿費として使用する予定である。
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