継続して引き続きラット膝関節拘縮モデルを用いることで、関節可動域運動による訓練を加えることによる関節可動域の変化と、関節包に出現する筋線維芽細胞 myofibroblasts 数の変化について検討を行った。筋線維芽細胞の同定にはα-SMA免役染色を用いたが、筋線維芽細胞以外にも血管周皮細胞 pericytes や血管平滑筋細胞がα-SMA陽性となるため、これらの除外を目的にCD34免疫染色を併用し、血管および血管内皮細胞を同定することで、これに隣接するα-SMA陽性細胞は血管周皮細胞および血管平滑筋細胞であるとすることにより、より正確な筋線維芽細胞の同定に努めた。 Wister系雄性ラット18匹は、コントロール群、固定群、運動群の3群に6匹ずつ無作為に分けた。ラットは8週齢のものを購入して1週間の馴化の後、9週齢から実験に用いた。固定化群と運動群のラットの右後肢の膝関節を独自に開発した手技により120度屈曲固定し、運動群には関節固定化の翌日から可動域運動を追加を開始した。可動域運動は1Nの力で尾側に5分間の伸展運動を行った。2週間の実験期間終了後、膝関節の伸展制限の度合いを測定した後、膝関節を採取した。関節包後部を観察するために、HE染色とCD34、α-SMA免疫染色を行った。CD34陽性細胞に隣接せず単独で出現するα-SMA陽性細胞を筋線維芽細胞としてその数を計数した。 膝関節伸展制限にはすべての群間で有意差があり、α-SMA陽性細胞数は対照群と比較して固定化群で有意に増加していた。これらの結果から、関節可動域運動が関節包の線維化を引き起こす筋線維芽細胞数の増加を抑制でき、ひいては関節固定により惹起される関節包の線維化の進展を抑制できる可能性が示唆された。 本研究は、論文化しアクセプトされた。
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