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2019 年度 実施状況報告書

糖尿病および加齢による線維化が関節構成体に及ぼす影響

研究課題

研究課題/領域番号 19K11413
研究機関金沢大学

研究代表者

松崎 太郎  金沢大学, 保健学系, 助教 (10401910)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード関節包 / 線維化 / 加齢
研究実績の概要

2019年度は研究対象となる「加齢モデルラット」および「糖尿病モデルラット(以下DMラット)」の作成を行った。加齢ラットはWistar系雄性ラットを用い個別のケージ内で飼料・水は新鮮なものを与え80週齢以上まで自由飼育を行った。DMラットは5週齢で購入し、streptozotocinを投与し血糖値が300mg以上に上昇したことを確認して加齢ラットと同様に飼育した。週齡に達した加齢ラットを安楽死させ後肢を採集し通常手技にてスライド標本を作製、HE染色を行い検鏡した。観察部位は膝関節と坐骨神経周囲とした。
膝関節では関節後部の関節包が肥厚し、線維束の密生化が観察された。これは若年ラットの関節拘縮モデルと類似した所見だが、体重の増加による関係もあり、関節包内の組織像について免疫染色などを用いて次年度に検討する必要がある。座骨神経の周囲では神経周膜と神経束の密着が観察され、これも拘縮モデルと類似した像と考えられた。
DMラット6匹を介入後6週で安楽死させ、膝関節の標本を作製した。平均体重は184.5±15.2gであり、対照群の304.2±16.2gと比較して有意に小さい値であった。DMラットの平均血糖値は600mg/dl以上、対照群では147.8±8.9mg/dlであった。膝関節構成体のHE染色像では軟骨、滑膜、関節包には相違が見られなかった。関節包を二重免疫染色を用いて筋線維芽細胞数を計測したところ、DMラットでは4.0±2.1個、対照群では3.7±1.4個であり群間に差は見られなかった。今回の実験では先行研究と同様の週齡で観察を行い、発症後の期間が短かった可能性がある。2020年度は介入後長期間飼育し、関節構成体の検討を行う予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の予定通りstreptozotocin(STZ)投与による糖尿病モデルラットの作成および飼育を継続して行っている。また、高血糖を呈するラットの長期飼育を行っており、2020年度中に糖尿病モデルラットの長期例を標本化し検索することが可能になる予定である。
組織標本の作製および観察には研究協力員である金沢大学医薬保健研究域保健学系の細教授(病理専門医)、医学系人体病理学講座標本作成室の協力を得ており、現在のところは順調に進んでいると考えられる。
加齢ラットに関しては、現在HE染色のみならず免疫染色を用いて組織および細胞の検討を開始しており、おおむね順調に進んでいると考えられる。
糖尿病モデルラットの長期モデル作成に不測の事態が生じた場合には、2020年度内で可能な限り再度STZの投与を行い、2020年度末まで飼育し標本作成を行う予定である。加齢モデルに関してはある程度の標本数は得られているが、何らかの事情により数が不足する場合には業者からある程度の週齡が経過したものを調達できるかについて相談している。

今後の研究の推進方策

関節構成体の変化を「線維化」の観点から検討しているが、以前行った研究でみられた免疫染色による二重染色(α-SMA抗体、CD34抗体)でα-SMA抗体には反応しないがCD34抗体に反応する細胞についても検討を行っていく予定である。

次年度使用額が生じた理由

2019年度に発注した抗体が海外の製品で、到着するのが2020年度以降になるため2019年度での発注を取り消したため、次年度使用額が生じた。
次年度使用額と当該年度以降に請求する助成金を合わせた使用計画については、発注を取り消した抗体の再発注、実験計画の遂行に必用な薬品購入、成果発表のための旅費および論文作成時の英文校正および論文掲載費に使用する予定である。

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公開日: 2021-01-27  

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