研究課題
本研究では「加齢に伴う脊柱アライメント悪化は歩行バランスの不良と相関する」という仮説を立て、無線式体幹2点歩行動揺計を用いた低コストかつ簡便な歩行バランス評価システムを確立するという目標を立てた。最終的には一般住民に対する転倒予防運動指導をする際の介入の効率化、指導結果の可視化に結びつけることを狙っている。ただし、動的歩行バランス評価については確立した指標が存在せず、一般住民における正常者と脊柱アライメント不良者で何が異なるのかについては現状では明らかではない。そもそも客観的評価をするに値する計測が可能なのかもわかっていない。そこで、まず脊柱アライメント不良者における計測精度試験を開始した。計測精度を明らかにすることで、計測そのものの妥当性と、値の被検者間差、被検者内変化の臨床的意義を見出すことがこの段階での目的になる。令和4年度までで手術予定有訴脊柱アライメント不良者としては当院で手術のために入院した患者の術前歩行評価として計測を行った人数が16名となった。また、正常者の計測も16名となった。全員に対して体幹2点歩行動揺計によるバランス測定を3回ずつ行なった。脊柱アライメント不良者、正常者ともに15名を超えたところで測定によって得られる複数パラメータについてそれぞれ変動係数を計算し、比較を行い、論文としてまとめ、英文学術誌The Spine Journalに投稿、掲載された。Ikegami S et al. Reliability and validity of gait dynamic balance assessment in adult spinal deformity patients using a two-point trunk motion measuring device. Spine J. 2023 Jul;23(7):1045-1053.
すべて 2023
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)
The Spine Journal
巻: 23(7) ページ: 1045-1053.
10.1016/j.spinee.2023.04.003.