アルツハイマー病への介入としての運動療法は疫学的研究の結果より極めて注目されている。我々は、ここに、筋より放出されるmyokineの関与に着目した。myokineの一種であるFNDC5はAPPのβ切断部位にBACE1と競合的に結合してBACE1の活性を低下させ、その結果として、Aβ40, 42の産生を減少させることを示した。運動により、筋よりFNDC5が産生されると、それが切断されて短いペプチドであるirisinとなって血中を巡り、(不明な機序で)神経細胞に働きかけてAβの産生を抑える可能性があることが推定され、運動によるアルツハイマー病の進行予防の機序の一つとなり得るかも知れない。
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