研究成果の概要 |
効果的・効率的に認知症リハビリテーションを実施するためには, 対象者の重症度・居住形態別に日常生活 (Activities of Daily Living; ADL) 障害の背景要因を明らかにし, その背景要因を改善するための介入を行うことが重要である。認知症者のADL障害の背景因子として, 認知機能障害, 妄想などの行動心理学的症候など様々な要因が指摘されている。先行研究の多くは, 交絡因子の調整が不十分であることなど限界を有していた。本研究では, 重症度別・居住形態別のADL障害の要因を同定し, それぞれのステージにおけるリハビリテーションの戦略を検討することである。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究によって, 主に中等度以降の段階では, ADL障害は認知機能障害だけでなく, 併存疾患の重症度, 栄養状態, BPSDの中でも特にうつ・焦燥性興奮など様々な要因が関連していること明らかになった。さらにADLの項目別にみると, さらに細かく関連要因が異なった。また, 文献レビューを通しても, 軽度認知症に対しては認知機能障害を補填するような環境設定や生活行為のスキルの向上のための反復練習や課題志向型練習, 中等度以降の認知症に対しては種々の要因に対する包括的な介入が重要であると考えられた。 これらのことから, 従来の介入方法を重症度・居住形態に分けて考えることが必要であると示唆された。
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