研究課題/領域番号 |
19K11425
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
金城 真実 杏林大学, 医学部, 学内講師 (40372924)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 女性 / 骨盤底障害 / QOL / 困窮度 / 行動制限 |
研究実績の概要 |
一般市民に対する調査として、健診受診者(1256人:男性808人、女性448人)における下部尿路症状・骨盤底障害に対する実態調査を行った。男女ともに同等の高い有病率(男性46.8%、女性45.5%)(n.s.)を認め、困窮度は同等であった(男性:19.2%、女性20.0%)(n.s.)。しかしながら医療機関への受診率は女性では男性の約1/5(男性:25.8%、女性:5.6%)(p<0.05)、女性は男性の3倍行動制限をしている(男性:14.2%、女性43.3%)(p<0.05)ことが明らかになった。 受診に至った女性骨盤底障害患者において、受診の契機、困窮度、希望する治療内容、受診環境の調査を行った(n=452)。女性骨盤底外来を受診する患者は高齢(年齢中央値:72歳)で、高い困窮度(85%で困っていると回答。*健診受診者では約20%)と行動制限(71%で何らかの行動を制限していると回答。健診受診者では43%)を認めた。半数以上が他の医療機関からの紹介患者で初診時では70%で保存治療を希望するが、結果として根治手術を行う患者も27%で認めた。 医療連携をスムーズに行う観点から医療従事者(医師、看護師、薬剤師、検査技師、保健師、ヘルパー等)の意識調査(n=160)を行った。72%が下部尿路症状に対しての質問を受けると回答し、下部尿路症状/骨盤底障害治療に関して(治療内容、治療実施、必要性)の認知率はいずれもほぼ80%程度と高く、医療従事者における治療意欲も高かいことが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現状はほぼ予定通りだが、CCOVID-19の影響で調査が不可能になる可能性がある。特に講演会・勉強会等において予定していた調査は会そのものの開催が不可能となるため大幅な遅れや内容変更を要する場合もあり得ると考える。
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今後の研究の推進方策 |
高い困窮度とQOLの低下を認めていながら、治療介入を躊躇しがちである女性骨盤底障害は、行動制限により対処している可能性が高い。そのためサルコペニア(筋肉量低下)やロコモテイブ症候群(動機能不全)、ひいてはフレイルに至り要介護・死亡率の上昇へと繋がる。超高齢化社会を迎えている本邦において健全な社会を維持するためにもこの負のサイクルを断ち切るためにも女性の骨盤底障害への対処(啓発・治療介入)は一助となると考えられる。 受診患者と講演会・勉強会参加者における意識および身体能力の相違を調査し、効果的な知識の普及方法、治療介入の必要性を明確にする。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度には体組成計購入予定があり、また論文掲載費等使用金額が大きくなる予定である。
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