研究課題
(1)咽頭期嚥下障害患者に対する新たな治療法の開発食道刺激による嚥下反射の誘発を利用した嚥下障害治療の開発を行うことが本研究課題の中長期ゴールである。健常者で刺激条件を詳細に検討し、最も効果的に嚥下反射を誘発する食道刺激の条件を確定するために、注入量・速度、液体の温度、体幹角度が嚥下反射の誘発時間にどの程度影響を与えるかを検討し、嚥下反射に最適な条件を求めた。健常成人を対象に経鼻チューブを挿入した。研究1ではチューブ先端を食道上部、中上部、中下部、下部に留置した。とろみ水を食道内に注入し、嚥下反射誘発時間を内圧計付属のソフトウェアを用いて算出した。研究1では、注入量(3mlもしくは10ml)、注入速度(3ml/secもしくは10ml/sec)を被検者に知らせずに各施行ランダムに5回ずつ行った。結果は、食道上部からの量が多く速い注入で最も潜時が短い嚥下反射誘発が得られた。研究2では、体幹角度(30°、60°、90°)ととろみ水の温度(1℃、20℃、35℃)を変えて各施行をランダムに5回ずつ行った。結果は、体幹角度30°もしくは60°で、温度1℃の条件下で最も潜時が短い嚥下反射誘発が得られた。(2)嚥下障害の生理・運動学的現象の解明、誤嚥・咽頭残留予測嚥下障害患者における嚥下反射中の高解像度インピーダンスマノメトリー計測から得られるパラメータ(上・中・下咽頭内圧、喉頭蓋谷・梨状窩残留量、舌骨・喉頭軌跡、上部食道括約筋弛緩時間・弛緩圧など)を解析した。喉頭蓋谷残留には、上・中咽頭内圧低下が有意に影響し、梨状窩残留には中・下咽頭内圧低下が有意に影響することがわかった。すなわち、咽頭残留を起こさないためには、近隣かつ直上の咽頭内圧の上昇が重要であることが示唆された。
2: おおむね順調に進展している
おおむね順調である
(1) 咽頭期嚥下障害患者に対する新たな治療法の開発嚥下障害患者を対象にどの程度嚥下反射誘発が得られるか検討する。(2) 嚥下障害の生理・運動学的現象の解明、誤嚥・咽頭残留予測嚥下障害患者における嚥下反射中の高解像度インピーダンスマノメトリーと嚥下造影検査から得られる誤嚥に関連するパラメータ(上・中・下咽頭内圧、喉頭蓋谷・梨状窩残留量、舌骨・喉頭軌跡、上部食道括約筋弛緩時間・弛緩圧など)を解析する。
消耗品等の購入を一部見合わせた。次年度も計画に基づき研究を遂行予定である。
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Dysphagia
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