研究課題/領域番号 |
19K11430
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研究機関 | 豊橋創造大学 |
研究代表者 |
石田 和人 豊橋創造大学, 保健医療学部, 教授 (10303653)
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研究分担者 |
植木 孝俊 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (60317328)
松下 光次郎 岐阜大学, 工学部, 准教授 (30531793)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 抑うつ |
研究実績の概要 |
当初、抑うつモデルマウスの作成には、①強制水泳負荷ストレス、②拘束ストレス、③高脂肪食の継続的投与の3種類を想定していたが、①、②に関しては、先行研究を参照しながら進めるも、明らかな抑うつ様行動を示さない状況であった、それに対し、③高脂肪食の継続的投与についての検討では、8週間連続で高脂肪食のみを与え続けることにより、抑うつ様行動が示されることを確認した。特に、通常マウス飼育用の餌(普通食)に比べ、高脂肪食では、オープンフィールドテスト、強制水泳テスト、尾懸垂テスト、高架式プラットフォームテスト、およびスクロース消費テストの各行動解析において有意差を示したことから、高脂肪食摂取のマウスは、活動性低下、ストレスに対する絶望状態、および快感消失などの抑うつ様症状を有することが確認できた。また、高脂肪食の継続摂取後、普通食に変更すると、4週間後には、快感消失の指標となるスクロース消費テストのみ改善傾向を示した。また、8週間継続的に高脂肪食を投与したマウスの脳組織を抗ΔFosB抗体および抗CD-68抗体による免疫組織化学染色に供すると、海馬の錐体細胞層(CA1, CA3)および歯状回においてΔFosB陽性細胞数の増加を示し、CA1および歯状回においては、CD-68陽性細胞数の増加もみられた。このことから、高脂肪食投与により、海馬の神経活動が亢進するとともに、炎症状態に陥っていることが示唆された。 以上より、抑うつモデル作成について一定の所見が得られたが、本研究課題のメインであるリハビリテーション効果の検証等については、次年度への課題となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初、強制水泳負荷ストレスおよび拘束ストレスによる抑うつモデルマウスの作成にとりかかるも、抑うつ様行動を示す有用なデータが得られず、高脂肪食摂取による抑うつモデル作成へと関心を移行した。本研究を進めるには、一通りの実験を進める上で、2~3ヶ月の期間は容易にかかる点からも、予定以上の時間を要してしまった。また、マウスの行動量を解析できるシステムを構築するも、新型コロナウィルス感染拡大防止の観点から、大学間の人事交流が遮断されることもあり、実験の遅れに拍車をかける結果となった。
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今後の研究の推進方策 |
高脂肪食摂取により、抑うつモデルが作成できることはある程度確認ができたので、このモデルを用いて、まずは、その病態を確認する。その後、運動療法(ランニングホイール)および食事療法(時間制限給餌、食事内容の変更)などによりリハビリテーション効果を検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
抑うつモデルマウスの作成について、行動実験による検証作業が中心となり、比較的経費のかかる試薬、抗体などを用いた病態の解析には十分な検討が成しえなかった。また、新型コロナウィルス感染拡大予防の観点から、研究活動における人事交流が十分に行えず、研究自体の進捗も遅れている。以上より、研究費の支出額を次年度に移行せざるを得ない状況であった。
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