研究課題/領域番号 |
19K11434
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
川上 康 筑波大学, 医学医療系, 教授 (70234028)
|
研究分担者 |
前田 清司 筑波大学, 体育系, 教授 (30282346)
竹越 一博 筑波大学, 医学医療系, 教授 (40261804)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | cfDNA |
研究実績の概要 |
Cell-free DNA (cfDNA) は,ストレス刺激によって細胞外へ放出され,体液を循環する細胞外遊離 DNA 断片である.健康なヒトを対象とした一過性運動において,血中 cfDNA レベルは,運動直後にピークレベルに達し,その後急速に安静レベルに回復する動態を示した.しかしながら,運動による血中 cfDNA の変化についての生理的意義や誘発機序,起源は未だ不明な部分が多く,運動の強度,時間,様式および性別を区別し,既存のバイオマーカーと合わせて調査していく必要がある.また,運動による cfDNA の研究は血液を用いたものばかりであり,より非侵襲的な尿中での検討は行われていない.本研究は,有酸素運動習慣のある健康な若年男女 27 名 (男性 : 16 名, 女性 : 11 名) を対象とした.事前に漸増負荷試験を行い,各対象者の換気性作業域値(VT)を算出した.座位安静低強度(85 % VT),高強度(115 % VT)の 3 条件で 30 分間の走行試験をおこなった.運動終了直後に採血および採尿を行い,cfDNA レベルと断片サイズの動態を検証した.本研究により,1)一過性走運動直後,血中および尿中 cfDNA レベルが有意に上昇すること,2) 血中cfDNA レベルの上昇は強度依存的であること,3) 運動誘発性 cfDNA の断片サイズは血中で約 180 bp,尿中で 30から50 bp であることを明らかにした.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究により,1)一過性走運動直後,血中および尿中 cfDNA レベルが有意に上昇すること,2)血中 cfDNA レベルの上昇は強度依存的であること,3)運動誘発性 cfDNA の断片サイズのピークは血中で約 180 bp,尿中で 30 〜 50 bp であること,が明らかとなった.また,血中 cfDNA は乳酸レベルなど従来のバイオマーカーが反応しない,より低強度の運動でも鋭敏な反応性を示し,精細な運動バイオマーカーになり得ることを証明したからである.
|
今後の研究の推進方策 |
今後,cfDNAの運動による生成機序を研究する予定である.例えば免疫細胞のセルラインを用いた 運動条件にmimicしたin vitro 実験を行うなど計画しており.臨床に応用していくためにより詳細な機序の解明を進めていく必要がある.
|
次年度使用額が生じた理由 |
物品の購入が予想より少なくて済んだため。次年度はcfDNA発症機序を研究するためセルラインや抗体の購入に充てる。
|