研究課題/領域番号 |
19K11437
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
飯野 要一 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教 (50345063)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 関節運動協調 / 冗長性 / 投動作 |
研究実績の概要 |
ヒトの多くの関節運動は、目的とする結果変数の数より運動の遂行に利用できる運動の自由度が多いという冗長性を有している。先行研究により、結果変数を安定化させるために冗長性を利用していることが単一運動の反復課題では示されているが、複数の選択肢から瞬時に適切な対応を選択する必要がある状況において、冗長性を利用しているのかは明らかになっていない。複数の運動課題を実施する場合は、運動計画を脳内のリソースを共有して表現するため運動の精度が低下することが知られている。本研究は、複数の選択肢から瞬時に選択を要求される状況において、予め決められた運動を行う場合と比較して、遂行変数間の協調性がどのように変化するかを明らかにすることであった。 本年度は、3-4m前方にあるミニバスケットボールを狙ってテニスボールを投げるという課題について得られたデータについての分析を進めた。統計的に比較を行い一定の知見を得た。冗長性の利用が複数の選択肢がある場合に変化するかどうかについては個人差が大きかった。また、先行研究とは異なり、複数の選択肢がある場合とあらかじめ決められた的に投げる場合に動作開始までの時間に有意差がなかった。この結果は、運動の強度(投球スピード)が低いとボールリリースまでの時間が長くなり、複数への的に投げるのに必要な運動の調整を動作開始後に行っている可能性があることを示唆した。そこで、投球スピードが最大の約80%になるように制限した課題について、同様の実験を9名の被検者について行った。得られたデータについて分析を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症による活動への影響は低減したものの、被検者の募集が期待通りにいかずに実験の実施に時間を要したことが主な原因である。また、複数の選択肢がある場合には単一の運動課題の場合と比較して、動作開始までの時間が増大するという先行研究に整合する結果が得られなかったが、この原因についての検討及び新たな実験を計画するのにも一定の時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
投球スピードを最大の80%にした課題について、得られたデータの分析を進める。この課題において、複数の選択肢がある場合に動作開始までの時間が単一の運動課題を実行する場合に比べて増大するのか、また冗長性の利用の程度が増大するのかを明らかにする。得られた結果を投球スピードに制約を設けず正確に的を狙って投げる課題についての結果と比較して、複数の選択肢から瞬時に対応を選択する必要がある状況における冗長性の利用についての知見をまとる。得られた知見を論文投稿する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究に遅れが生じたため、データの分析と得られた知見をまとめる際に必要となる費用の支出がなかった。次年度使用額は、主として論文投稿費として使用する。
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