研究課題/領域番号 |
19K11438
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
奥村 基生 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (90400663)
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研究分担者 |
木島 章文 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (10389083)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 動作開始距離 |
研究実績の概要 |
フェイント動作はあらゆる対人競技でみられる重要かつ有効な対人技能であり,その研究は運動・スポーツ科学や教育のために有益な情報を提供することにつながり,社会・教育的な意義が深い. 昨年度から今年度にかけての実験では,剣道の攻撃の通常動作(面と小手)とフェイント動作(小手に偽装して面,面に偽装して小手),それらに対応する防御(面か小手の防御)を設定し,対戦する参加者に攻撃者か防御者の役割を与えた.各試行で攻撃者は通常動作かフェイント動作でランダムな順序で攻撃し,防御者は防御した.攻撃と防御の役割は1試行ずつ交互に行った.また,試行開始距離は遠近1つずつ(150cmと170cm)の二者間距離に固定した.攻撃者がフェイント動作をする試行では,距離の遠近に関わらず,動作開始後すぐに偽装動作をするように教示した.これは異なる距離から同じようなフェイント動作をしたときに,攻撃の成功率への影響を検証するためであった. 実験の結果では,両方の距離から通常動作よりもフェイント動作の方が攻撃の成功率が約10%高いこと,フェイント動作では遠い距離よりも近い距離の方が成功率が約5%高いことが示された.つまり,近い距離でのフェイント動作による攻撃の有効性が明らかになりつつある.しかし,何故そのようなフェイント動作が有効であるのかが明確ではない.距離によるフェイント動作や相手の反応の変化を分析し,有効な動作の原理を明確にする必要がある.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
実験の半分程度が終了した時点で新型コロナウィルス感染症の感染拡大によって実験を中断せざるを得なくなった.その後は感染症対策に追われ,また対人競技を対象としており実験での感染リスクもあるのため,実験を再会できていない状態である.
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今後の研究の推進方策 |
現在,実験の再開を検討している段階である.実験終了後のデータ分析では,攻撃の成功率に加えて,攻撃者と防御者の反応・運動時間と,運動学的データの解析をする.しかし,この1年の遅れをすぐに取り戻すことは難しいと考えており,研究期間の延長を考えている.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染症の感染拡大によって実験の中断を余儀なくされ,研究の進行が遅れ,学会に参加できなかったことなどによって旅費や謝金などの使用が減った.来年度以降に実験を再開して,計画通りに謝金などに使用したいと考えている.
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