研究課題/領域番号 |
19K11440
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
近藤 誠 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (50633012)
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研究分担者 |
島田 昌一 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (20216063)
中村 雪子 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (90548083)
小山 佳久 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (40397667)
臼井 紀好 大阪大学, 医学系研究科, 特任助教(常勤) (00784076)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 運動 / 抗うつ効果 / うつ病治療薬 |
研究実績の概要 |
既存の抗うつ薬が効かないうつ病患者は大変多い。我々は、近年、運動による抗うつ効果や海馬神経新生の促進効果には、セロトニン3型受容体が重要な役割を担っていることを明らかにした。そこで本研究では、新たなうつ病治療薬を目指し、まず、セロトニン3型受容体を介する海馬神経新生および抗うつ効果の分子メカニズムの解析を行った。海馬神経新生のプロセスとセロトニン3型受容体との関連についての研究では、海馬の組織学的解析を行い、セロトニン3型受容体が海馬における神経幹細胞の増殖および神経細胞への分化を促進することを明らかにした。また、抗うつ効果とセロトニン3型受容体との関連についての研究では、マウスを用いたうつ行動の解析を行い、セロトニン3型受容体を介する抗うつ効果が、既存の抗うつ薬と異なるメカニズムによることを示した。次に、マウスを用いてストレス負荷うつ病モデルを作製し、このうつ病モデルマウスがうつ状態を示すこと、さらに、海馬の神経新生が低下していることを示した。さらに、うつ病モデルマウスにおいて、セロトニン3型受容体を薬理学的に刺激すると、海馬の神経新生が増加すること、うつ状態が改善することを見出した。そこで次に、セロトニン3型受容体と抗うつ効果との関連をさらに詳しく検討するため、新たな遺伝子改変マウスの導入と、新たなうつ病モデルマウスの作製を開始した。また、セロトニン3型受容体アゴニストおよびアンタゴニストとうつ行動との関連について検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マウスを用いた海馬の組織学的解析やうつ行動の解析を行い、セロトニン3型受容体と海馬の神経新生やうつ行動との関連についての新たな興味深い知見が得られている。また、うつ病モデルマウスを作製し、セロトニン3型受容体と抗うつ効果の関連も詳しく検討してきた。さらに、新たなうつ病モデルマウスの導入を進めており、当初の計画どおり、順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究の延長上に、引き続き実験・研究を進めて行く。セロトニン3型受容体と海馬の神経新生や抗うつ効果との関連についての解析を進める。新たな遺伝子改変マウスの導入と、新たなうつ病モデルマウスの作製を進めていき、セロトニン3型受容体と抗うつ効果との関連をさらに詳しく検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定した試薬の購入が次年度となったため。次年度、物品費として使用する。
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