研究課題/領域番号 |
19K11445
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研究機関 | 県立広島大学 |
研究代表者 |
三浦 朗 県立広島大学, 地域創生学部, 教授 (30190581)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 運動 / 血圧 / 睡眠 / 午睡 |
研究実績の概要 |
【目的】本研究の目的は,運動と昼食後の短時間仮眠(午睡)の組み合わせが,その日の夜の睡眠の量と質,夜間の生理応答(血圧,心拍数,自律神経系緊張度)に及ぼす影響を調べるとともに,翌日の午前中の生理応答と「眠気・疲労感・食欲・タスク処理能力」を評価することである。 【方法】健康な成人女性9名を対象として,①高強度脚自転車運動(70%HRR,60分)を午後8時から実施した日(運動条件),②運動条件に加えて昼食後20分間の午睡を実施する日(運動・午睡条件),③午睡を実施した日(午睡条件),④運動・午睡を実施しない日(コントロール)の夜に,総睡眠時間・中途覚醒時間・睡眠効率・入眠潜時,睡眠中の血圧と心拍数,自律神経系緊張度の評価,REM・non-REM浅い・深い睡眠の3段階の測定を行った。また,翌日の起床時には,起床時睡眠感(OSA睡眠調査票MA版),視覚的評価スケールによる気分(眠気,疲労感),食欲,タスク処理能力(あまりのある割り算50問)を評価した。 【結果】睡眠の質と量に関してみると,コントロールと比較して運動条件の「中途覚醒時間/総睡眠時間(%)」「うたた寝時間」は有意に減少し,「睡眠効率」は有意に増加した。起床時睡眠感・疲労感においては,コントロールと比較して,運動・午睡条件の「起床時眠気」「疲労回復」「精神的疲労感」「眠気」の項目で有意な改善がみられた。また,さらに,食欲感では,コントロールと比較して,運動条件,運動・午睡条件の「満腹感」の項目で有意な改善がみられた。 血圧の就寝中の平均値を各条件間で比較すると,運動・午睡条件はコントロールと比較して収縮期と平均血圧において有意に低値を示した。また,運動条件と比較しても収縮期,拡張期,平均血圧すべてにおいて有意に低値を示した。さらに,午睡条件と比較しても収縮期血圧において有意に低値を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年度は自転車運動の強度を低強度(予備心拍数[HHR]の50%)に設定していたものを,2020年度は高強度(70%HHR)に設定し,高強度自転車運動と昼食後の短時間仮眠(午睡)の組み合わせが,その日の夜の睡眠の量と質,夜間の生理応答(血圧,心拍数,自律神経系緊張度)に及ぼす影響を調べるとともに,翌日の午前中の生理応答と「眠気・疲労感・食欲・タスク処理能力」を評価した。当初の研究計画にほぼ一致した内容の実験を行いデーターの記録・解析を行った。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は,当初の計画通り,運動様式が夜間の睡眠や睡眠時の循環応答に及ぼす影響を検討する。あわせて,午睡(昼食後の短時間仮眠)と運動の組み合わせが,翌日の午前中の「眠気・疲労感・食欲・タスク処理能力」に及ぼす影響を検討することで,午睡の戦略的な取り方が,翌日午前中の活動に及ぼす影響を明らかにすることを試みる。 実験の条件としては①バドミントン(認知判断を伴う球技)を午後に実施する日,②低強度自転車運動(単調な動きを繰り返す運動)を午後に実施する日,③バドミントンを午後に実施することに加えて午睡を行う日,④低強度自転車運動を午後に実施することに加えて午睡を行う日,⑤コントロール日(運動・午睡なしの条件),の5条件について,2019年度・2020年に実施した実験と同様の測定項目を計測し比較評価する。 健康な成人女性10名を対象として,上記の5条件の夜に,総睡眠時間・中途覚醒時間・睡眠効率・入眠潜時(ActiwatchSP, RESPIRONICS),睡眠中の血圧と心拍数(ホルタ自動血圧計,TM-243,A&D Medical),REM・non-REM浅い・深い睡眠の3段階の測定(NEM-T1,TOSHIBA)を行う。また,翌日の起床時には,起床時睡眠感(OSA睡眠調査票MA版),視覚的評価スケールによる気分(眠気,疲労感),食欲,タスク処理能力(あまりのある割り算50問)を評価する。自転車運動は一定負荷脚自転車エルゴメータ運動とし,強度は50%HRR[Heart Rate Rserve],60分の運動とする。バドミントンの内容は,ウオーミングアップ,ノック,ゲーム,クーリングダウンの60分間の運動とする。運動強度を把握するために,運動中の心拍数を計測する。すべての条件において昼食を12時30分からとし,夕食は規定食(約680kcal)を18時に提供する。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定額より使用額が少なくなった理由は,学会がWEB開催となり,旅費が不要となったため,旅費が予定額より低い執行額となった。
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