研究課題/領域番号 |
19K11448
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研究機関 | 国士舘大学 |
研究代表者 |
田中 重陽 国士舘大学, 政経学部, 准教授 (70541001)
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研究分担者 |
角田 直也 国士舘大学, 体育学部, 教授 (80119081)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | MCセンサー / 筋・腱の力学的活動 / 筋力 / 筋パワー / 筋コンディション |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、MCセンサー法を用いて動的運動中の筋及び腱の活動動態を捉え、それらが筋パワー発揮に及ぼす影響について検討し、競技力向上を狙いとしたトレーニングプログラム作成や、筋・腱のコンディショニングチェックに有用な情報を得ることである。 初年度(令和元年度)は、MCセンサー法による筋及び腱の機能評価の妥当性と信頼性について検証するために、①筋電図法及びMCセンサー法による筋活動動態の評価、②最大下における瞬発的な力発揮時の筋活動動態の評価、③身体形態とMCセンサー法の計測値との関係、の課題に取り組んだ。上記①、②の課題では、これまでに筋機能評価に活用されている筋電図法(生理学的情報)とMCセンサー法(力学的情報)を併用し、筋機能評価の類似点と相違点について検討した。③の課題では、超音波法とMCセンサー法を同期し、安静時の脂肪厚、筋厚及び筋力発揮時の筋の形状変化量と、MCセンサー法の計測値の関係について検討した。 ①の実験結果として、筋放電量とMCセンサー法で計測した筋張力は、いずれの筋長条件でも、筋力と有意な相関関係がそれぞれ認められたものの、高強度の筋力発揮時では、筋張力の方が筋放電量よりも筋力を反映する指標であることが明らかとなった。②の課題では、筋力発揮から最大筋力発揮までの筋力上昇局面と下降局面において筋張力はほぼ同様の変化様相を示したのに対して、筋放電量は筋力の上昇局面と下降局面で異なる様相を示した。③の課題では、筋張力は測定姿勢の変化に伴う皮下脂肪厚や筋厚の影響を受けるため、初期の計測値を考慮することや相対値の活用などの配慮が重要であることが明らかっとなった。また、筋張力は筋力発揮中の筋の形状変化量(筋力発揮に伴う筋厚の変化)との間に有意な相関関係が認められ、MCセンサー法で計測した筋張力は生体内の生理学的情報を反映する指標となりうる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度は、MCセンサー法による筋及び腱の機能評価の妥当性と信頼性について検討した。20名以上の被験者を対象に、筋電図法とMCセンサー法で筋の活動動態を評価し、生理学的な活動と力学的な活動動態の評価の違いに関しては明らかにすることができたが、超音波法とMCセンサー法の同期による実験は十分なデータ数が確保されていない。また、初年度の内に2年度から実施予定であった動的運動時の筋・腱の活動動態の評価のための実験環境を整備する予定であったが、その一部が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
初年度の実験結果を基に、2年度は動的運動時の筋・腱の活動動態について検討する予定である。当初は、動的運動としてペダリング運動のみを想定していたが、トレーニングやリハビリテーションで取り入れられているスクワット動作も実験試技として採用することで、よりスポーツ現場や臨床現場などで活用できる科学的知見を得られるものと予想される。 測定環境を整備し、より多くの情報収集によってデータの信頼性を高めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度に構築を予定していた設備の一部を整えることができなかったことから、次年度使用額が発生した。 超音波法とMCセンサー法の同期システムは、安価で設定できたものの、動的運動時における筋・腱の活動動態を計測する設備システムが極めて高額となることから、設備システムを再考するために、初年度の使用を見送った。
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