研究課題/領域番号 |
19K11451
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
一川 大輔 東洋大学, 理工学部, 准教授 (10383499)
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研究分担者 |
奥田 功夫 東京国際大学, 人間社会学部, 教授 (20615190)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ボール弾道 / ゴルフ / 運動制御 / アフォーダンス / TrackMan |
研究実績の概要 |
本研究は、打撃方向に対する視野の知覚をゴルファーに与えた場合に、ゴルフクラブの挙動にどのような差異が生じるのかを42名のプロゴルファー (PG)と25名のアマチュアゴルファー (AG)を対象にし、弾道分析器であるTrackManを用いて比較を行った。実験環境は、打席からの視野が打ち上げと打ち下ろし環境となり、330mで向かい合うドライビングレンジの環境(+5度 vs. -5度)を利用し、ティーショットエリアの勾配が1度以下でフラットな状況から前方が傾斜しているフェアウェイにある200ヤード先の表示板をターゲットとして測定を行った。その結果、クラブヘッドスピードと入射角はどちらの傾斜でもPGはAGより有意に大きく、PGは打ち上げ環境ではその視野から得られる情報を認識し、打ち下ろし環境より入射角を約3.3度有意に大きくし、傾斜に応じたスイングに調整していたことが確認された。一方、AGの打ち下ろし環境においては、入射角と打ち出し角との間には相関関係が認められず、傾斜に応じたボールの高さのコントロールが出来ていないことが確認された。本実験におけるハイスキルのPGは、30mの高低差に対して入射角を大きくしていたように、AGとは違うアフォーダンスを認識して、最適なボール弾道を導き出していた。打ち上げ環境でのショットでは、打ち出し角度が低いとすぐにボールが地面に着弾するため飛距離を最大化することができない。そのため、PGは、長期的な経験から飛距離を最大化するために無意識的に打ち出し角度をミスが発生しない程度に増加させたと推測された。対照的に打ち下ろし環境では、打ち出し角度が高いと地面に着弾するまでにボールのフライトタイムが長くなり、風の影響を大きく受けた場合にその曲がり幅が大きくなるため、打ち出し角度を減少させるショットが引き出されていたと考えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度は新型コロナウィルスの影響もあり測定が滞る時期もあったが、年度内には、3つの研究課題に対する被験者測定はほぼ完了することが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
実験①「打撃方向の視野が異なる環境下におけるインパクトパラメータの検証」については、国際雑誌に論文投稿が完了している。実験②「4種類の斜面におけるスイングパラメータの測定」、実験③「屋内平地環境下におけるインパクトパラメータの5段階評価法の構築」については、データ取得が終わったため、統計処理等を進め論文作成を遂行する。
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次年度使用額が生じた理由 |
被験者謝金が計画より少なかったため若干の残額が生じた。次年度の予算は英文校正の費用等に支出する計画である。
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