本研究はゴルフにおけるクラブフェース挙動と弾道の変動性に着目し、熟練者群(SG)とアマチュア群(AG)の間で比較することを目的に3つのテーマについて研究を行った。研究①では、打席から打ち上げ(Uphill)と打ち下ろし(Downhill)の状況が330m以上離れ落下地点の視野環境が上下で異なる条件にて、42名のSGと25名のAGを対象にツアープロが使用する弾道測定器(TrackMan)を用いてフェース挙動について比較を行った。その結果、SGは、Uphillの状況に対してアフォーダンス(環境認知)を働かせ、クラブの入射角を自動的に変化させ高い弾道を打ち分けていたが、AGにはその傾向は認められなかった。この内容については国際雑誌にて公表済みである。研究②では、14名のSGと14名のAGを対象に1ラウンド時の使用回数に相当する15球ドライバーショットでのクラブ挙動とゴルフスコアとの関係性を分析し、短時間でパフォーマンスを評価できる統計学的モデルの確立を目指した。その結果、インパクト時のフェース角度(Face to target)の標準偏差について、SGはクラブヘッドスピードが速いにも関わらずAGよりFace to targetの15回での変動性を約1/2までに収めていることが確認された。さらにその要因だけでストローク数を10 stroke以上小さくすることに貢献していることが重回帰分析により明らかとなった。同内容については、論文作成は全て終了しており国際誌に投稿する段階となっている。研究③では、屋内の打撃施設を利用して、10名のSGを対象に、平地と傾斜角度5度での4種類の傾斜条件を人工的に作成し、足圧変化、クラブ軌道、ボール弾道の3項目がどのような影響を受けるのかについて測定を行った。同内容については国内専門雑誌に投稿準備中である。
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