研究課題/領域番号 |
19K11456
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
二宮 浩彰 同志社大学, スポーツ健康科学部, 教授 (50284782)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | クチコミ / eクチコミ / マラソン / ランナー / クチコミ情報 / 性別 / 入手経路 / 意思決定 |
研究実績の概要 |
本調査研究では、京都マラソン2019に参加したランナーを対象としてウェブ調査を実施し、3,043票の有効票本を得た。データの分析は、独立変数を性別、従属変数をクチコミ行動とした。 クチコミ情報の入手経路は、男女ともに「ランニングサイトの個人による投稿」がもっとも多く、男性が52.7%、女性が46.5%であった。入手経路として続いて多いのは、男性では「SNSの個人による投稿」(26.2%)、「ランニング仲間や関係者との会話」(23.8%)であり、女性では「ランニング仲間や関係者との会話」(41.1%)、「SNSの個人による投稿」(33.5%)、「家族や友人との会話」(29.7%)であった。また、全くクチコミ情報を入手しなかった割合は、男性が21.4%、女性が15.0%であった。女性の方がクチコミ情報を多くの経路から入手する傾向にある。マラソン体験によるクチコミ情報の伝達は、男女ともに「家族や友人との会話」がもっとも多く、男性が73.5%、女性が80.1%であった。続いて、男女ともに「ランニング仲間や関係者との会話」が多くなっており、男性が59.2%、女性が70.9%であった。「SNSによる投稿」は男性が27.9%、女性が36.7%であり、「ランニングサイトの個人による投稿」は男性が17.6%、女性が18.9%であった。マラソンの体験を伝達する手段は、eクチコミよりもクチコミの方が高い割合になった。 クチコミ情報の出場決断への影響(男性3.94,女性4.41)、クチコミ情報の影響度(男性3.61,女性3.97)、クチコミ情報の役立ち(男性4.57,女性4.86)において、t検定を行ったところ統計的に有意な差がみられた。男性よりも女性の平均値が高くなっており、女性の方がクチコミ情報によってマラソンに参加する意思決定に影響を受けやすいことが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査研究の目的は、送り手であるスポーツ経験者によるクチコミ/eクチコミによる情報が、受け手であるスポーツ参加者のスポーツイベントへの参加の意思決定に及ぼす影響を分析することである。「するスポーツ」のケーススタディとして、都市型市民マラソンへの参加の意思決定を取り上げ、京都マラソンの参加者を調査対象としてマラソン大会後にウェブ調査を実施し、データを収集することができた。 データ分析では、クチコミ/eクチコミの受け手であるスポーツ参加者のスポーツ経験レベル、スポーツ関与レベル、スポーツ専門性レベルの違いから、スポーツイベント参加の意思決定におけるクチコミの影響度についての仮説を検証することによって、新たな研究成果を得ることを期待している。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究では、送り手であるスポーツ経験者によるクチコミ/eクチコミによる情報が、受け手であるスポーツ観戦者のプロスポーツの観戦の意思決定に及ぼす影響を分析することである。「みるスポーツ」のケーススタディとしては、プロバスケットボールリーグへの観戦の意思決定を取り上げ、京都ハンナリーズの観戦者を調査対象としてシーズン中にウェブ調査を実施し、約500の有効標本を収集する見込みである。 しかしながら、新型コロナウイルスの影響で、プロスポーツの開幕が危ぶまれており、調査方法を再検討しなければならないかもしれない。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度に予定していた海外学会の出張をキャンセルしたため、次年度使用額が生じた。 次年度の学会出張に使用する計画である。
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