研究課題/領域番号 |
19K11458
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
行實 鉄平 久留米大学, その他部局等, 准教授 (50449922)
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研究分担者 |
中西 純司 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (90243849)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 地域スポーツ政策 / 仮説的構成概念モデル / 地域スポーツ推進システム / 多主体協働共生 / コミュニティガバナンス / ケーススタディ |
研究実績の概要 |
本研究は、「多主体協働共生=コミュニティガバナンス」に着目して、地域スポーツ推進システムとしての総合型地域スポーツクラブ(以下、「総合型クラブ」とする)の可能性について探究することを目的としている。その研究目的の遂行に向けた2020年度(2年目)は、1) 総合型クラブの「多主体協働共生=コミュニティガバナンス」モデル(仮説的構成概念モデル)を構築すること、2)総合型クラブの事例(設立から定着を通して地域アクターとの連携・協働を生起させるプロセス)からモデルパターン(類型化)を検討すること研究実施計画として掲げた。 その結果、まず、1)に関しては、これまでの地域スポーツ政策における3つの普遍的課題(①クラブ育成、②施設整備、③指導者養成)に、総合型クラブが多様な地域組織(地域スポーツ組織以外も含む)との連携によって取り組んでいる姿を「多主体協働共生」の仮説概念モデルとして設定することができた。また、結果の一部を地域社会学会第45回大会[オンライン:2020.8.22]に参加し口頭発表を行った。次に、2)に関しては、これまで調査を進めてきた3つの事例(山口県のUクラブ、群馬県のSクラブ、宮崎県のEクラブ群)以外にも、福岡県のSクラブ、熊本県のAクラブにおいて追加のヒアリング調査(オンライン)を実施し、仮説概念モデルの質的検証、すなわち、「多主体協働共生」モデルのパターン分析作業(オンライン)を共同研究者と進めることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
<本研究の全体像> 本研究では、「総合型クラブは地域スポーツ推進システムになりうるか!」という問いを設定し、その問いを検証するために、【1】「地域スポーツ推進システム」という理想と現実のギャップの明確化、【2】「多主体協働共生=コミュイティガバナンス」としての総合型クラブの可能性に関する仮説的構成概念モデルの構築、【3】「多主体協働共生=コミュイティガバナンス」としての総合型クラブのケース分析(類型化モデルの提示)、【4】総合型クラブを支える人材の力量にみる「多主体協働共生=コミュニティガバナンス」の持続可能性の展望といった、4つの研究課題を設定している。 <2年目の進捗状況> 2年目(2020年度)は、【2】と【3】の課題に取り組むこととなった。その結果、まず、【2】の課題に関しては、昨年度(2019)の成果も踏まえ、仮説的構成概念モデルの構築を進めることができ、また、成果の一部を学会(地域社会学会)で発表することができた。次に、【3】の課題に関しては、事例の数を増やし(ヒアリング調査の実施)、仮説的構成概念モデルのパターン分析を共同研究者と進めることができた。しかし、コロナ禍の影響もあり、想定していた調査および分析を進めることができず、【2】に関しては、論文化による研究成果の集約ができていない。また、【3】に関しては、学会発表による専門家評価を受けるとともに、論文化にむけた調査(ヒアリング調査)が必要になる。
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今後の研究の推進方策 |
3年目(2021年度)は、2年目(2020年度)に予定していた研究成果の集約を進めるとともに、【3】と【4】の研究課題に取り組むこととなる。まず、2年目に予定していた研究結果の集約に関しては、論文の作成を進める。次に、【3】に関しては、総合型クラブにみられる「機能/状態ガバナンス」のパターンを事例追加調査(ヒアリング調査)によって分析を進めることで、その類型化モデルを提示する。さらに、【4】に関しては、総合型クラブのマネジャーに求められるコンピテンシーを文献調査によって措定し、クラブマネジャーに対するヒアリング調査を実施しすることで「多主体協働共生=コミュニティガバナンス」としての総合型クラブを支える経営人材の力量を明らかにする。なお、今年度もコロナ禍によって、対面での調査が厳しい場合は、オンライン(リモート)での環境を構築した上で、調査を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由としては、旅費(総合型クラブ調査、学会発表、研究分担者との協議、国立国会図書館への文献収集調査)および、備品(インタビュー時にフィールド現場での作業に必要なPC)を当初予算として計上していたが、コロナ禍の影響で移動困難となったことから、執行することができずに発生した。 今後の使用計画としては、オンライン(リモート)調査に必要なカメラ搭載PCの購入などをはじめとした通信機器備品の整備、SPSSテキストアナライシスなどの質的データ分析に必要なソフトの購入、および、研究代表者のワクチン接種後は、各種調査、研究分担者との協議、学科発表に必要な旅費の使用を計画している。
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