研究課題/領域番号 |
19K11460
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
小野 誠司 筑波大学, 体育系, 准教授 (70754753)
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研究分担者 |
木塚 朝博 筑波大学, 体育系, 教授 (30323281)
川村 卓 筑波大学, 体育系, 准教授 (30334056)
三浦 健一郎 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 精神疾患病態研究部, 室長 (20362535)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 眼球運動 / 反応時間 / パーシュート / 運動学習 |
研究実績の概要 |
スポーツのパフォーマンスを決定する要因として視覚情報の認知は重要な役割を果している。しかしながら、これまでアスリートの卓越した運動能力と視覚認知の関連性を明確に示した知見は限られており、本研究においてアスリートの視覚認知能力と動作特性を把握することにより、個々の能力を最大限に引き出す効果的な視覚トレーニング法の研究開発が可能となる。本研究の目的は、視覚刺激によって誘発される眼球運動と事象関連脳電位の計測を組み合わせ、視標の動きやその変化を視覚的に認知する能力を定量化することによって、アスリートにおける視覚認知能力の新たな評価法を開発し、運動パフォーマンスとの関連性を明らかにすることである。2020年度は、反復課題の遂行による眼球運動の適応・学習能力の特性、および反応動作課題による視覚認知能力と眼球運動の関係について、動く視標を眼で捉える滑動性追跡眼球運動(パーシュート)を用いて検討することに主眼をおいた。本研究では、視覚認知能力を定量化するために、手指のボタン押しによる反応動作課題を用いて、パーシュート潜時との関係性を検討し、視覚入力に基づいた動作と眼球運動の精度に関連していることを明らかにした。また、難易度の高い2次運動成分を用いた視覚刺激を用いて、パーシュートの運動学習の特徴の違いを明らかにし、これらの知見は視覚認知能力を向上させる新たな学習方法の開発につながるものと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当該年度に予定した、異なる視覚刺激を用いた眼球運動の計測および視覚反応時間の関係性について、アスリートを含む異なる被験者の特徴を明らかにするための研究、さらにはパーシュートを用いた新たな運動学習について研究は順調に進展し、国際誌と国内誌を含む複数の論文および国際学会にて発表した。本研究により、動く視標に対する視覚認知能力の個人差と、それに伴う眼球運動と反応時間の関連性が明らかとなり、また視覚認知能力を向上させるための新たな学習法の開発につながる知見を得た。
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今後の研究の推進方策 |
ここまでの研究計画に基づいて、今後はさらに複合的な視標追跡課題や反応動作を用いた視覚認知能力を検討する。また、動く視標を用いた視覚刺激に対する眼球運動および反応動作が背側視覚経路の脳活動と関連すること、ヒトの視覚認知の違いが背側視覚経路の働きに影響されることから、今後は異なる競技経験を持つアスリートを対象として、パフォーマンスに関連する視覚認知能力の違いが事象関連電位に反映されるかどうかについての実験を引き続き推進する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度に予定していた、消耗品の購入と国際学会および国内学会における研究成果報告のために旅費の一部を次年度に行うこととしたため未使用額が生じた。
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