研究課題/領域番号 |
19K11461
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
小宮 秀明 宇都宮大学, 教育学部, 教授 (30186811)
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研究分担者 |
黒川 修行 宮城教育大学, 教育学部, 准教授 (30431505)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 筋内脂肪 / エコー強度 / 多周波インピーダンス / 内臓脂肪面積 / HU値 / 筋線維型 / インスリン抵抗性 |
研究実績の概要 |
生活習慣病,取り分け糖尿病の最も強い危険因子は肥満である。このことを踏まえ,これまで肥満,内臓脂肪面積,筋内脂肪量に関して継続的な研究を実施してきた。既に過剰に蓄積した内臓脂肪からは生活習慣病を惹起する脂肪細胞由来の生理活性物質であるアディポサイトカインが多く分泌されることが知られている。一方,内臓脂肪に代わる第三の脂肪細胞として異所性脂肪が注目され,運動器である骨格筋内の脂肪量とその同定法が注目されている。本申請では外側広筋内部の脂肪状態を超音波測定装置のエコー強度や多周波インピーダンス(MBI)を用い電気抵抗とリアクタンスよりcole-cole円弧則より算出した細胞内抵抗と細胞外抵抗を求め,これらが内臓脂肪面積(VFA)のサロゲートマーカー(代用指標)になり得るかを検討するものである。 申請者はこれまでX線CT装置を用い,VFAや筋肉のHU値(Hounsfield Unit値)とインスリン抵抗性(HOMA-R)について関連性を明らかにしてきた。しかし,X線CT装置は医療従事者のみが使用できる医療機器であり簡便性や費用の面で問題がある。そこで申請ではX線CTで得られたHU値を妥当基準として非侵襲的なエコー強度やMBIから求めた細胞内・外抵抗を基に筋肉内の脂肪状態を推定する方法を開発する。ことによりメタボリックシンドローム(MS)やMSとは対極にあるサルコペニアの筋の質を明らかにする上で重要な指標になり得ると考える。最終的には細胞内・細胞外脂肪とVFA やインスリン抵抗性との関係について明らかにする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
科学研究費研究期間(3年計画)の1年目である。当初の申請金額よりかなり減額されたため,当初の予定より被験者数を絞り,今回実施出来た測定の被験者は25名であった。2年目以降,初年次と同様の測定を行い,被験者数を増加させる予定である。申請時に記載した血液データ(血糖,インスリン,中性脂肪(TG),総コレステロール(TC),HDLコレステロール(HDL-c),LDLコレステロール(LDL-c)),身体計測値は体重,BMI,腹囲,体脂肪率,筋肉量,腹囲は全て予定通り測定を行った。X線CT画像からは内臓脂肪面積,皮下脂肪面積,大腰筋,傍脊柱筋のCT値,体力項目は膝伸筋力,外側広筋の筋線維型,大腿部のインピーダンス値,大腿部のエコー強度及びアンケートであり,申請通りの研究を実施しており,研究遂行上,問題は生じていない。25名の被験者の内訳では運動群が多く,非運動群が少なかったため,次年度は非運動群を中心に被験者を選定する予定である。 初年度に得られたデータの単純集計解析では,体格(BMI)と血清脂質や内臓脂肪面積との間に相関関係が観察され,運動習慣とも顕著な関連性が窺えた。また,内臓脂肪面積と筋線維型,血清脂質,インスリン抵抗性の指標であるHOMA-R,腹部の筋肉のCT値,外側広筋のエコー強度との間に有意な相関が確認された。さらに,HOMA-Rとの間においても同様な傾向が見られた。次年度も引き続き被験者数を増加し,研究目的に沿った研究を実施し,データの解析を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
測定の2年目についても初年度と同様に血液データ(血糖,インスリン,中性脂肪(TG),総コレステロール(TC),HDLコレステロール(HDL-c),LDLコレステロール(LDL-c)),身体計測値は体重,BMI,腹囲,体脂肪率,筋肉量,腹囲は全て予定通り測定を行った。X線CT画像からは内臓脂肪面積,皮下脂肪面積,大腰筋,傍脊柱筋のCT値,体力項目は膝伸筋力,外側広筋の筋線維型,大腿部のインピーダンス値,大腿部のエコー強度及びアンケートを実施する。初年度は測定に関しては申請時の予定金額よりかなり少なかったため,被験者数が25名に留まった。2年目には被験者数を増加し,最終年度に統計に耐えれるような人数を確保したいと考えている。初年度の被験者は25名であり,当初の予定ではBMIの階層別に痩せ,普通,肥満の3群に分け無作為に抽出することを計画していたが,不十分であった。2年目はなるべく,体格による相違から種々のデータが比較検討できるように調整を行っていきたいと考えている。併せて,被験者を運動群と非運動群に分け,比較検討を行うことを予定している。そのための統計解析が可能なように被験者のサンプリングには考慮したいと考えている。 今年は新型コロナ感染予防の影響を受け,測定が出来ない状態が続いている。前期期間中はかなり厳しい状況が継続することが予想されるため,後期に測定を集中して実施することを計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
採択された直接経費が当初の申請額よりもかなり低かったため、備品、消耗品や旅費の不足分を見込み30万円を次年度以降から前倒し請求を行った。しかし、結果的に不足分が30万円には達しなかったため、145,670円を次年度への繰り越しとなった。
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