今回は外側広筋内部の脂肪状態をX線CTで得られたCT値を妥当基準として超音波測置のエコー強度(EI),多周波インピーダンス(IP)より求めた細胞内抵抗(RE),細胞外抵抗(EI)や位相角(PA)を基に筋内の脂肪状態を推定することを目的とした. 被験者は20~25歳の健康な男性91名である.内臓脂肪面積(VFA)と各筋肉のCT値との相関は何れの筋肉とも低い相関であった.CT値と深度ごとのEIとの相関では 各深度とも低い相関であった.CT値と5kHzから1024kHzの周波数におけるIP値との相関関係を深度ごとに観察するとV-I電極間隔2cmで最も高い相関は250kHzのr=-0.402,2.5cmで700kHzのr=-0.707,3cmでは250kHzのr=-0.701であり何れも高い周波数で高い相関が確認された.CT値とRE,EIとの関連性を見たところ各深度ともREとの間には顕著な相関は確認されなかったが,RIとの間にV-I電極間隔2 cmでr=-0.581,2.5cmで r=-0.642,3cmではr=-0.618と有意に高い相関が確認された.CT値とPAとの相関関係を深度ごとに観察するとV-I電極間隔2cmで最も高い相関は25kHzのr=0.611(p<0.001)と50kHzのr=0.573(p<0.001),2.5cmで25kHzのr=0.636(p<0.001)と50kHzのr=0.610(p<0.001),3cmでは25kHzのr=0.663(p<0.001)と 50kHzのr=0.630(p<0.001)であり,比較的低い周波数で高い相関関係が確認された. 以上より,妥当基準であるCT値の代用指標になり得る可能性が示唆された測定項目はEI,IP値の高周波数領域及びPAの低周波数領域であり,これらの測定項目はCT値のサロゲートマーカーになり得る可能性が示唆された.
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