研究課題/領域番号 |
19K11465
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研究機関 | 鹿屋体育大学 |
研究代表者 |
森 司朗 鹿屋体育大学, 理事, 理事(教務・学生・研究・国際交流担当)・副学長 (80200369)
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研究分担者 |
中本 浩揮 鹿屋体育大学, スポーツ人文・応用社会科学系, 准教授 (10423732)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 幼児 / 運動発達 / 動き / 空間認知 / フィードバック制御 / フィードフォワード制御 / 運動経験 / 環境 |
研究実績の概要 |
本年度は2つの調査を行った。調査1では「“おにごっこ”を通しての空間認知能力の発達と動きの変化」について、2つの保育園の年長児37名(男児16名、女児21名)を対象に調査を行った。調査では、3人一組での“おにごっこ”の活動の様子をビデオカメラで撮影するとともに、それぞれの幼児にトラッキングセンサーのついたチョッキを着用させ、“おに”として捕まえる動きと“子”として逃げる動きの対応関係を中心に互いの空間距離や速度に関して分析を行った。その結果、“おに”の“子”を追跡する追跡行動において“子”の動きを追従するようなフィードバック制御と“子”の動きを前もって予測して行動を開始するフィードフォワード制御に基づく2つの追跡行動が“おに”に確認された。この結果は、映像の観察に基づく分析と同時にトラッキングセンサーを用いて得られたデータから分析された“おに”と”子“の両者の追跡時の速度の変化によっても分析された。調査2では、「戸外の自由遊び中の動きの習得過程の時系列的な変化」に関して、年少児13名(男児8名、女児5名)、年中児14名(男児6名、女児8名)、年長児15名(男児6名、女児9名)を対象に園庭での自由遊びの30分間の身体活動の様子を各学年別に10月と3月に4台のビデオカメラを使用して撮影するとともに、各学年2名にトラッキングセンサーのついたチョッキを着用させて測定を行った。自由遊びでの動きについては、杉原ら(2011)が作成した37種類の動きのバリエーションの分類に従い各学年ごとに動きの種類の分類をおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2つの園(保育園1園、こども園1園)の協力が得られ、37名の幼児を対象に“おにごっこ”を通しての空間認知能力の発達を分析する十分なデータが得られた。また、分析に関してもデータを整理していく中で空間認知の発達に関してフィードバック制御とフィードフォワード制御の2つの運動制御の視点の有効性が確認された。この分析に関しては、フィードバック制御であったかフィードフォワード制御であったかを映像から観察して判断するだけでなく、“おに”と“子”の間の速度変化の関連から運動制御のパターンを分析することができた。また、戸外の自由遊び中の動きの習得過程の時系列的な変化に関しても年少児13名(男児8名、女児5名)、年中児14名(男児6名、女児8名)、年長児15名(男児6名、女児9名)の3つの年齢区分に従って自由遊び中の動きの様子(30分間)を観察し、データを回収することができた。さらに、今回の調査では調査1と調査2で年長児15名から同一の対象児のデータを回収することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今回得られた2つの調査結果に基づき、次年度では、“おにごっこ”の認知発達と動きの変化との関連を横断的な視点で比較し、幼児の運動発達における情報処理のメカニズムを明らかにするとともに動きとの関連性を明らかにしていく。また、今年度に行った戸外(園庭)での自由遊び中の動きについて年間を通しての変化に関して年少児、年中児、年長児の各発達段階を通して時系列的に整理し、動きの多様性経験が引き出す動きの形成過程についてまとめる。さらに、今年度調査できなかった里山の自然環境で月に1度行われている「森のようちえん」活動の中の自由遊びの時間(30分)での2歳から3歳児の動きの獲得の推移に関して調査を行っていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は、国際学会等での発表を行わなかったため,その分の予算が残った。次年度はこの予算を使って、トラッキングセンサーを利用しての自由遊び中の子どもの移動距離等のデータを分析するための分析プログラムの予算に加算していく予定である。
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