研究課題/領域番号 |
19K11470
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研究機関 | 十文字学園女子大学 |
研究代表者 |
平田 智秋 十文字学園女子大学, 教育人文学部, 教授 (80438895)
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研究分担者 |
北原 俊一 十文字学園女子大学, 社会情報デザイン学部, 教授 (20286123)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | VR環境 / ブランコ / 外力 |
研究実績の概要 |
令和2年度は、①実験系の整備と、②実験の遂行と解析を進める予定であった。 ①の実験系の整備に求められる要件は以下の3点であった;a) 動かないブランコに乗った実験参加者の上体動(具体的には股関節角度)を感知し、b) それによって発生するトルク(ブランコを増幅する力)とそれに伴うブランコの動きを算出し、c) ブランコから見える景色の変化を実験参加者に呈示する。令和元年度に現実環境のa)、仮想環境のb)は整ったので、令和2年度は現実と仮想環境とを媒介するc)の整備を進め、これはほぼ予定通りに進んだ。すなわち実験参加者の上体動を感知し、それをバーチャルリアリティ(以下、VR)環境上の、ブランコの動きや景色の変化へと反映させる準備は整った。これにより、現実世界における実験参加者の上体動と、そこから得られるトルクやブランコ推進力の算出が可能となり、それらをもとに仮想世界であるディスプレイ上の景色を操作できるようになった。つまり実験系の大まかな整備は完了した。ただし、本実験までに細かな調整は必要となる。 しかし②の実験遂行と解析については、全く進められなかった。予備実験を重ね、VR環境における安全対策を整えてようやく、本実験を遂行できる。たとえばVR酔いはどんな人に起こりやすいのか、実験参加者をVR環境に曝露する時間の許容範囲、そして万一、VR酔いが起きたときに必要な処置などである。しかし感染症のまん延により、不特定多数の実験参加者を募って、VR環境における安全対策を整備する作業が進まなかった。よって実験の遂行と解析にも着手できていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「やや遅れている」と自己評価した大きな理由は2つ、感染症対策に伴う校務増加により、研究に費やせる時間が不足したこと、もう一つは不特定多数の実験参加者を募り、対面での実験遂行が難しかったことである。 遠隔で授業を運営するための準備や、授業後の対応にかかる時間の増大は、世界中の大学で研究者が直面している事態であろう。また対面での実験で施すべき感染症対策についても、少しずつ知見が蓄積されている。よって与えられた環境で、教学と研究遂行との最適バランスをみつける作業を進めていく。
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今後の研究の推進方策 |
研究に費やす時間については遠隔授業に必要な手法が蓄積できてきたので、令和3年度は研究する時間を確保できると考える。 いっぽう対面での実験遂行までには、クリアすべき課題がいくつかある。まず不特定多数を対象とした対面での実験遂行に必要な感染症対策の選定、次に実験系の構築に携わった者以外を対象とした実験系の細かなパラメータ調整(たとえば「VR酔い」対策、必要な試行数と実験にかかる時間との調整、など)である。これらを整えてようやく、計画した実験を遂行できる。 対面実験における感染症対策やその周知などについては、必要な情報を集め、実験参加者の不利益が生じないような対策を整える。 これらの準備を進め、計画の遅れを取り戻すべく、今後の社会情勢を見極めつつ、知己を頼って少数での実験系テストを重ねながら、実験遂行を実現する。
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次年度使用額が生じた理由 |
感染症対策のため、旅費が発生しなかった。また対面での実験ができなかったため、人件費や謝金として計上していた予算を消費できなかったため。令和3年度は、対面での実験を進め、人件費や謝金として計上した予算を活用していく。
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