研究課題/領域番号 |
19K11470
|
研究機関 | 十文字学園女子大学 |
研究代表者 |
平田 智秋 十文字学園女子大学, 教育人文学部, 教授 (80438895)
|
研究分担者 |
北原 俊一 十文字学園女子大学, 社会情報デザイン学部, 教授 (20286123)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 見えない力 / VR環境 / ブランコ漕ぎ |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、慣性力や遠心力などの見えない力がブランコ漕ぎという周期動作の制御に与える影響の検討である。具体的には、ブランコ増幅に伴う位相シフトという現象を見えない力が導いている、という仮説の検証である。見えない力が生じないVR環境で動くブランコを作成し、位相シフトが起こるかを検討する。今年度はVR環境で動くブランコでの実データ取得を計画していた。 今年度の実績としてはまず、位相シフトという現象が実在することを示す理論論文がPhysical Review Eに掲載された。そこでVR環境でのブランコ漕ぎデータを取得する段階に入った。VR環境でのブランコ漕ぎの習得が予想以上に困難であることが判明し(VRブランコを漕げるのは5人に1人程度の割合)、課題を容易にすべく、VR環境の再構築を行い、予備実験を繰り返した。ブランコを効率的に漕ぐには、ブランコの状態を感知し、それに合わせて状態を動かす必要がある。そしてVRゴーグルを通じた視覚情報だけでは、時々刻々と変化するブランコの状態を感知しにくい。これがVRブランコ漕ぎが予想以上に困難であった理由である。そこで、巨大体育館であったVRブランコ環境の設定を、公園へと変更し、木々を配置することで、ブランコの進行方向を示す情報(光学流動。オプティカルフロー)の量を増やした。さらにブランコの鎖の長さを計画より40cm短くして(1.61mから1.21m)、増幅しやすいブランコへと設定変更した。結果、実験参加者により直感的に理解しやすいVRブランコ環境を整備できた。また研究倫理委員会による実験計画も承認された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
R4年度は理論論文の公表と、VRデータの取得が主な目的であった。論文は掲載され、VR実験はデータが揃っていないものの、計画当初よりも良質なVR環境が整うなど、2022年度は大きく研究計画が進展した。したがって、この自己評価を選択した。延長許可を活かし、最終年度にVR環境でのデータを取得し、研究計画を完遂する。
|
今後の研究の推進方策 |
R2,3年度はコロナ対策に追われ、研究の時間を確保できなかった。その遅れを取り戻すべく、R4年度に取り組んだが、計画どおりに全て進んだわけではなく、延長を申請した。今年度はVRデータを取得し、見えない力の影響を検証する。 具体的には、VRブランコを漕げる実験参加者のデータをできるだけ確保する。予備実験の結果、実験の基準に達する者は、5人に1人程度であった。したがって、10人分のデータを確保するには、50人の実験参加者が必要だ、ということになる。これが済めば、解析ルーチンはできているので、論文執筆のみを残すことになる。
|
次年度使用額が生じた理由 |
R4年度はVR環境の再構築を行ったため本実験が出来ず、実験参加者への謝金の支出に関し未使用額が生じた。また、Physical Review Eの論文掲載料について請求が年度をまたいだため、この分の未使用額が生じた。R5年度はこれらについて、論文掲載料はすでに未使用額分より支払っており、実験についてもR5年度中に行うためこの未使用額より謝金として支出をする。
|
備考 |
論文の紹介記事一覧 https://aps.altmetric.com/details/145521205/news
|