研究課題
高齢期の2型糖尿病患者が増加している現在、生活の質を維持するためにも、骨格筋量及び質の維持(サルコペニア予防)は重要な課題である。サルコペニアの抑制には、運動が重要であるが、心血管疾患、整形外科的疾患に罹患している高齢患者も多く、有効な運動量を確保できないのが現状であり、運動量の低下を補うサルコペニア予防法の確立が急務である。特に高齢期の肥満を伴う2型糖尿病では、インスリン抵抗性による骨格筋での糖の取り込み抑制により、すでに骨格筋量の低下が生じている(プレサルコペニア)。そのため、早期からの骨格筋の量と質の維持が、極めて重要となる。骨格筋の質は、ミトコンドリア機能の程度に依存し、インクレチンホルモンの一つであるglucagon-like peptide-1(GLP-1)の受容体活性化が、骨格筋のミトコンドリア機能の維持に関与する可能性がある。本研究では、2型糖尿病において、GLP-1の受容体活性化薬(GLP-1RA)により、骨格筋の量と質が維持されること、およびそのメカニズムを明らかにすることを目的とした。ヒトの2型糖尿病サルコペニア肥満に極めて近いSDT fatty rat を使用し、GLP-1RAを投与し、サルコペニアの程度を評価した。その結果、SDT fatty ratの筋力増加や長趾伸筋の筋横断面積(type IIb muscle fiber)萎縮抑制効果は、GLP-1RA投与において認められなかった。一方で、GLP-1RA投与によるヒラメ筋の筋横断面積(type I muscle fiber)の増加は認められなかったが、ミトコンドリア量の増加を示すCS活性とCox5b発現の有意な増加を認めた。これらの結果から、GLP-1受容体活性化は、ヒラメ筋のミトコンドリア量を増加させることにより、筋の質の改善に関与する可能性が示された。
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