研究課題/領域番号 |
19K11483
|
研究機関 | 神戸芸術工科大学 |
研究代表者 |
古賀 俊策 神戸芸術工科大学, 芸術工学部, 名誉教授 (50125712)
|
研究分担者 |
近藤 徳彦 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (70215458)
奥島 大 大阪国際大学, 人間科学部, 講師 (70735307)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 活動筋局所レベルの酸素消費量 |
研究実績の概要 |
運動を長く続けるためには活動筋への適切な酸素供給が不可欠である。これまでヒトでは全身および活動筋全体の酸素消費(VO2)と酸素供給(QO2)の応答速度が異なることが明らかにされている。本研究では、活動筋全体の計測では捉えられない局所レベルの血流動態と酸素動態を個別に計測して、酸素不足発生のメカニズムを検討した。 方法:拡散相関分光法(DCS)と空間分解・近赤外分光法(SRS-NIRS)を用いて、局所筋組織の血流速度指標(blood flow index, BFI)と酸素代謝率(MRO2)を同時に計測した。1)赤血球による近赤外光の吸収・拡散を受けた光子の数を記録し、光強度の時間変化情報(自己相関関数)に基づいてBFIを算出した。2)酸素化および脱酸素化のHb+Mb濃度、酸素飽和度、BFIの相対的な変化からMRO2を算出し、VO2の動態を推定した。成人男性10名を被験者とし、非利き手の浅指屈筋表面にDCSとNIRSのプローブを貼付した。最大随意筋力30%強度のハンドグリップ運動(2秒収縮、2秒弛緩の繰返し)を3分間実施した。 結果と考察:運動開始時の応答時定数を指数関数近似で求めた結果、血流量の応答が酸素消費量よりも速い、あるいはより遅い被験者が認められた。血流量の応答がより遅い例では、VO2/QO2を反映する脱酸素化(Hb+Mb)濃度の増加度が高く、速筋線維がより多く動員されたことが示唆された。活動筋局所レベルのVO2応答の定量化によって従来の全身と活動筋全体のVO2計測では捉えられなかった、局所レベルにおける酸素不足の程度が明らかになった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は拡散相関分光法(DCS)と空間分解・近赤外分光法(SRS-NIRS)を用いて、ヒトの活動筋局所レベルにおける血流量と酸素消費量の応答を計測した。とくに、運動開始時における応答の計測と解析が順調に進展した。
|
今後の研究の推進方策 |
局所筋組織の血流速度指標(BFI)と酸素代謝率(MRO2)データに混入するノイズを除去して、応答速度(時定数)の推定精度を改善する必要がある。移動平均法とローパスフィルターなどを用いてノイズの除去法を検討する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
次年度に下記の研究を実施するために、次年度使用額が生じた。 局所筋組織の血流速度指標と酸素代謝率データに混入するノイズを除去して、応答速度(時定数)の推定精度を改善する必要がある。そこで、ノイズ除去に関するソフトウエア(移動平均法とローパスフィルターなど)を購入する予定である。
|