研究課題/領域番号 |
19K11489
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
速水 達也 信州大学, 学術研究院総合人間科学系, 准教授 (50551123)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 運動感覚 / 位置覚 / 筋電図 / 抽象表現 |
研究実績の概要 |
本研究では、抽象表現による口頭での関節角度呈示における関節角度調節の正確性を明らかにする。加えて、その際の筋活動および上位中枢の活動を解明することで、制御メカニズムについても検証することを目的としている。将来的には、体育・スポーツの指導場面における種々の運動形態(単関節運動から全身運動、競技特異的動作など)に応じた運動強度の呈示に関して、効果的且つ合目的な方法を確立するための実践研究へと発展させるものである。 そのために本研究では、①異なる関節角度における位置覚、②抽象表現での口頭による運動強度呈示下における関節角度の正確性と位置覚との関係性およびその際の筋活動動態、③抽象表現での口頭による運動強度呈示下における関節角度調節時の皮質脊髄路興奮性、について明らかにすることを計画した。このうち2019年度は、実験環境の構築と、異なる目標角度における位置覚測定(事前測定)を計画した。今年度の実績として、環境の構築がほぼ完了し、位置覚測定(事前測定)を実施した。実験環境として、関節角度計測のための動作解析機器を導入し、予備実験を行い手法の妥当性を確認した。事前測定は、当初上肢と下肢の双方を対象として実施する予定であったが、下肢については十分な実施が未完となった。次年度は、抽象表現での口頭による運動強度呈示下における関節角度の正確性と位置覚との関係性およびその際の筋活動動態を調べる段階に移行する。今年度実施した事前測定で得られた結果との比較等を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2019年度は、動作解析機器を導入し、実験環境の整備および予備実験を実施した。また、事前測定としての位置覚測定を実施した。 対象者は、整形外科的および神経学的な既往がない成人男性とした。 運動課題は、上肢の運動として肘関節屈曲/伸展とした。手順は、これまで申請者が実施してきた方法(速水ら、2008; 速水ら、2014)を採用した。目標角度は、上肢では肘関節屈曲45°から屈曲/伸展方向それぞれ10°間隔で計6条件とした。関節角度は、映像記録による動作解析によって算出した。目標角度と実際に再現した関節角度との誤差を算出し、誤差の程度を位置覚の鋭敏さとした。その結果、伸展位に近づくほど誤差が大きい傾向が認められた。ただし、対象者によってばらつきが大きい傾向も見られたため、試行回数あるいは対象者数を増やす等により、データの妥当性を高める必要性が考えられた。また、当初予定していた下肢については十分に実施できておらず、今後継続して実施する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
当初予定で進捗が滞っている下肢を対象とした実験を進める。筋電図計測については、予備実験を進めながら被験筋を選定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた国際学会に参加しなかったために次年度使用額が生じた。今後の計画として、別国際学会への参加および筋電図計測に係る消耗品費とする。
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