研究課題/領域番号 |
19K11493
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研究機関 | 岡山県立大学 |
研究代表者 |
綾部 誠也 岡山県立大学, 情報工学部, 教授 (80407238)
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研究分担者 |
熊原 秀晃 中村学園大学, 栄養科学部, 准教授 (40389367)
石崎 聡之 芝浦工業大学, 工学部, 准教授 (60321395)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 酸素摂取量 / 加速度 / エネルギーコスト / サッカー / 間欠的運動 / スプリント |
研究実績の概要 |
高強度運動が運動後に過剰なエネルギー代謝を招くことが広く知られており,さらに,近年の研究成果は,加速・減速や方向転換によるエネルギー消費量が間欠的走行運動中のエネルギー消費量全体の10%以上に相当することが明らかにされている.すなわち,スポーツ活動時の正味のエネルギー消費量を正確に測定するためには,運動の強度や持続時間が変動する間欠的な運動パターンに対応することが求められる.本研究は,これまでに得られている実験室での高強度運動や間欠的運動に伴うエネルギー消費量に関する研究成果を主としてGPSで得られる位置情報に応用することにより,従来のスポーツ活動時のエネルギー消費量推定法の精度向上を行うものである. 令和元年度は,呼吸循環負担を推定するための位置情報の分析について検討した.特に,スポーツ活動中の加速減速の影響を検討した.サッカーに着目して検討を行った.その結果,サッカー競技中の呼吸循環負担は,総移動距離よりも,ボールに関与するプレーの回数との間に有意な関連性を認めた.また,実際のスポーツ活動中のエネルギー消費量は,各個人の有酸素制作業能に関連した.このことは,スポーツ活動において,総運動量(移動距離)よりも間欠的動作に付随する加速・減速が身体負担(エネルギー消費量)に貢献することを示唆する.従って,位置情報の分析においても,移動量のみならず,移動パターンなどの時系列分析が必要であると考られた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は,当初の計画通りに令和元年度の研究過程を進めている.ただし,令和2年1月以降の社会情勢の急変により,得られたデータの分析・論文作成に関しては,若干の遅れが生じている.
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今後の研究の推進方策 |
令和元年度の研究結果を受けて,令和2年度は,呼気ガス分析によるエネルギー消費量の実測値に貢献する位置情報について,実際のスポーツ活動の中で分析を行う.呼気ガス分析は,携帯型呼気ガス分析装置を用いる.特に,エネルギー消費量の算出に際しては,真に運動中のエネルギー消費量を評価するためにウォームアップなどの試合形式以外の動作のエネルギー消費量を加味した実験プロトコールにて行う.位置情報は,高精度小型GPS装置を用いて,サンプリング頻度20Hzにて試験中に連続して取得する. これらの結果は,スポーツ活動中のエネルギー消費量の正確な計測に基づいて,その要因としての位置情報の分析方法を明らかにする.この研究の特徴の一つは、スポーツ活動中のエネルギー消費量を呼気ガス分析装置により実測する点である.これまでの研究では,運動前の心拍数と運動強度の関係から推定されたエネルギー消費量に基づいた研究が多く,本研究はその限界点を克服するものである.また,ウォーミングアップなどの影響を相殺することができれば,さらなる正確性の向上を期待できる.本研究で用いる20Hzのサンプリング頻度の位置情報は,数cmの誤差範囲である.これらの結果は,本研究の強海であり,これまでの研究では得られたなかった位置情報-スポーツ活動中のエネルギー消費量の関連を実測値から示すことになる.得られた結果について,学術大会での成果発表や論文発表を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
令和2年1月以降に予定していた研究の一部について,社会状況(新型コロナウィルス )に関連して,実施が困難になり,令和2年度に持ち越したため,そこに関連する経費も令和2年度に持ち越した.
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