研究課題/領域番号 |
19K11495
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研究機関 | 国際武道大学 |
研究代表者 |
荒川 裕志 国際武道大学, 体育学部, 教授 (20591887)
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研究分担者 |
眞鍋 芳明 中京大学, スポーツ科学部, 教授 (50406675)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | スプリント / 疾走 / バイオメカニクス / 動作分析 / 等速性筋力 / モーションキャプチャー |
研究実績の概要 |
本研究では、男子大学生陸上競技選手を対象に、疾走パフォーマンスと体力的・動作的要因の関係に着目してそれらの変容を縦断的に観察することを目的としている。対象者は、2019年度から2021年度までの間に大学へ入学する陸上競技選手(短距離、障害、走幅跳を専門とする者)とし、各対象者に対して2年間の期間を空けた計2度(大学在籍1年目および3年目)にわたる実験を行う計画である。 当該年度に関しては、2020年度に大学へ入学した11名の1年生を対象とした実験を11月に行った。実験内容は当初の計画に含まれていた体力的要因の評価(体組成:生体電気インピーダンス法、身体形態計測、等速性下肢筋力)および動作的要因・疾走速度の評価(動作分析:光学式モーションキャプチャーシステム)とした。等速性下肢筋力については、等速性ダイナモメーター(BIODEX)を用いた股関節伸展・屈曲筋力および膝関節伸展・屈曲筋力の測定を行った。動作分析実験については、陸上競技場において実施し、スプリント動作における約50mの加速後の局面を対象として疾走動作のデータを取得した。昨年度および今年度に取得した実験結果は、光学式モーションキャプチャーシステムの制御ソフトウェア(NEXUS 1.7.1)によって三次元座標データ化し、その後に数値解析プログラミングソフトウェア(MATLAB)を用いてキネマティクス変数を算出済みである。 2021年度については、新たに大学へ入学した1年生を対象とした実験を行うとともに、2019年度に実験を行った新3年生に対する2度目の実験を併せて実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度の実験対象となる大学1年生の陸上競技選手は11名であった。当初の計画である20名を下回った要因は、対象種目を昨年よりも絞り、極めて短距離のスプリント動作により特化した100m走、200m走、110mH、走幅跳の選手のみとしたためである。本研究は、2019年度から2021年度までの計3年間の間に大学へ入学する陸上競技選手を対象としていることから、当該年度における実験対象選手の減少は重大な問題とはならない見込みである。また、当該年度の動作分析実験は2019年度の反省を踏まえて光学式カメラの設定や配置、撮影環境を改善したため、三次元座標データが欠損することなく実験を進めることができた。以上を総合的に踏まえて、現在までの進捗状況は「おおむね順調に進展している」と自己評価した。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は当初の予定通り、新たに大学へ入学した1年生を対象とした実験を行うとともに、2019年度に実験を行った新3年生に対する2度目の実験を併せて実施する予定である。新1年生に対する実験については、2020年度と同様に、対象選手を100m走、200m走、110mH、走幅跳を専門とする者に絞った条件で実施する計画である。取得済みデータの分析作業は並行して進めていく予定であるが、本研究の主目的である体力的・動作的特徴の縦断的評価が可能となるのは2度目の測定が完了した後となるため、縦断比較に関する研究成果の公表は2022年度以降となる。また、新型コロナウイルス感染症の流行次第によっては計画通りに実験を遂行できない可能性も考えられる。この点については今後の状況を見ながら対応策を考えていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用が生じたのは昨年度に記載した理由と同様、2019年度に関連業者に依頼したフォースプレートのピット工事費の見積り額が申請前の見積り額よりも大幅に増加し、ピット工事の実施が難しいと判断したためである。結果として生じた差額については、モーションキャプチャーシステム等の実験機材の購入・維持費、実験およびデータ分析を円滑に進めるための研究協力者に対する謝金等に充当する計画である。
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