研究課題/領域番号 |
19K11510
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
岡田 桂 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (90386657)
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研究分担者 |
山口 理恵子 城西大学, 経営学部, 教授 (30509120)
稲葉 佳奈子 成蹊大学, 文学部, 准教授 (70431666)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | スポーツ / ジェンダー / セクシュアリティ / LGBTQ / オリンピック憲章 / 性的マイノリティ |
研究実績の概要 |
今年度は、申請課題内容(スポーツにおけるLGB主流化の問題点と「T」)のうち、特にスポーツにおけるトランスジェンダー/DSD(性分化疾患)女性アスリートの問題にを中心に研究を進めた。コロナ禍において2021年に延期された東京オリンピック、およびそれに先立って改訂されたオリンピック憲章の変更箇所を具体的な事例として、近代スポーツが性の境界を「ジェンダー」から「生物学的性(セックス)」へと移行させつつある状況について、IOC資料、英語圏における報道資料およびそれらに関する議論を検討し、考察した。
上記の考察をもとに、近代スポーツがシスジェンダー男性の身体を基準として成立しているという限界を指摘した上で、①これまでのチャンピオンスポーツ(高い競技レベルのスポーツ)やオリンピック競技において性がどのように定義されてきたのか。②社会の価値観の変化に伴いそれがどのように変容しつつあるか。③男性優位文化といえるスポーツにおいてジェンダー・マイノリティ(トランスジェンダーやノンバイナリー、ジェンダー・クィアの人々)とセクシュアル・マイノリティがどのように成約され、また位置づけられてきたか。④性別二元性と不可分な近代スポーツにおいて「LGBTQ」と(半ば粗雑に)カテゴリー化された性的マイノリティ内部での格差(ジェンダー格差)があらためて顕在化しつつあること。をあきらかにした。
上記内容に関しては、シンポジウムおよび講演会での報告(合計3回)、および書籍の1章として発表した。また、同時に共同研究者と執筆を進めていた書籍が、次年度はじめに刊行予定となっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍で制約はあったものの、フィールドワーク等を除いて、資料収集やインタビュー調査に関しては研究計画通り遂行することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度に当たるため、研究計画で予定していたフィールドワーク(海外)を行う必要がある。しかしながらコロナ禍の現時点においては、予定地域への渡航及び調査に伴う制約が非常に大きいことが予想されている。これに関しては、調査予定の夏期にどの程度状況が好転しているかを改めて吟味し、実現可能性が低い場合は1年の研究延期も視野に入れて検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍において当初予定されていた調査年度を組み替える必要が生じたため。次年度使用分は、2022年度の調査において使用予定。
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