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2020 年度 実施状況報告書

長期間の身体運動トレーニングに対する消化・吸収系機能の適応過程の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K11516
研究機関東京大学

研究代表者

寺田 新  東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (00460048)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード消化・吸収系機能 / 持久的トレーニング / SGLT1 / GLUT2 / ラット / 超高糖質食
研究実績の概要

食事によって摂取した栄養素は、胃や小腸で消化・吸収され、体内の様々な臓器へと届けられる。したがって、食事による効果は、この消化・吸収系能力の影響を強く受けることになる。これまで、消化・吸収系機能が長期間の身体運動トレーニングによってどのような影響を受けるのかということに関しては、ほとんど明らかとなっていなかった。昨年度の研究により、長期間の持久的なトレーニングおよびアスリート向けの食事(高糖質食)の摂取により、膵臓のアミラーゼ活性が大きく増加すること、すなわち、「消化機能」が向上することが明らかとなった。本年度の研究では、長期間のトレーニングとアスリート向けの食事が、糖質の「吸収機能」に及ぼす影響について検討した。 実験動物(ラット)に対して、持久的な水泳運動を6週間実施させた場合、小腸における糖の吸収を担う糖輸送体SGLT1の発現量が増加することが明らかとなった。しかしながら、同じ持久的水泳運動を5日間もしくは4週間実施させても、SGLT1の有意な増加は認められなかった。また、同じく小腸に発現するGLUT2の発現量にもトレーニングによる影響は認められなかった。さらに、東アフリカの陸上長距離選手が普段摂取しているような超高糖質食を5日間もしくは4週間摂取した場合でも、SGLT1およびGLUT2の発現量には変化が認められなかった。
以上の結果から、糖質の吸収系機能は、長期間の持久的トレーニングに対しては適応するものの、その変化量は消化系機能に比べて小さなものであり、また、食事組成の違いによる影響も受けにくいという可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

今年度は、新型コロナウィルス感染症の拡大に伴う緊急事態宣言により、大学の入構が制限されたため、当初予定していた消化機能を評価するための実験の一部を行うことができなかった。しかしながら、そのような状況の中でも、持久的トレーニングおよび食事に対する吸収系機能の適応に関して興味深い知見が得られた。

今後の研究の推進方策

1年目には消化系機能を、そして2年目には吸収系機能の評価を行ってきており、最終年度では胃排出速度に対する持久的トレーニングおよび食事の影響を検討する予定である。新型コロナウィルスの影響によって2年目に実施することができなかった一部の実験(吸収系機能を評価する実験)も、次年度(最終年度)に実施する予定である。

次年度使用額が生じた理由

(理由)2020年度は新型コロナウィルス感染症拡大にともなう緊急事態宣言によって大学への入構が制限されたこともあり、当初予定していた実験の一部が行えなかった。最終年度では、2020年度に行えなかった実験もあわせて行う予定にしているため、研究費を次年度に持ち越した。
(使用計画)次年度使用額を用いて、まずは2020年度に実施予定であった実験を行い、さらに、2021年度使用予定の研究費によって残りの実験を実施する予定である。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2021 2020 その他

すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 図書 (2件) 備考 (3件)

  • [雑誌論文] Effects of Dietary Fat Restriction on Endurance Training-induced Metabolic Adaptations in Rat Skeletal Muscle2021

    • 著者名/発表者名
      Takuya Karasawa, Saki Kondo, Ayumi Fukazawa, Atsuko Koike, Momoko Tsutsui, Shin Terada
    • 雑誌名

      Journal of Oleo Science

      巻: 70 ページ: 253-262

    • DOI

      10.5650/jos.ess20248

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] 高強度・間欠的および持久的な走行トレーニングに対するマウス骨格筋の糖・脂質代謝機能の適応に及ぼす中程度脂肪食摂取の影響2021

    • 著者名/発表者名
      小池温子, 柄澤拓也, 筒井桃子, 近藤早希, 深澤歩, 寺田新
    • 雑誌名

      日本スポーツ栄養研究誌

      巻: 14 ページ: 20-29

    • 査読あり
  • [雑誌論文] ICRマウスと SDラットにおける安静および運動期間中の嗜好性の比較:同一の飼料および運動プロトコルを用いた比較2021

    • 著者名/発表者名
      小池温子, 成田直央, 寺田新
    • 雑誌名

      日本スポーツ栄養研究誌

      巻: 14 ページ: 69-77

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Effects of a Ketogenic Diet Containing Medium-Chain Triglycerides and Endurance Training on Metabolic Enzyme Adaptations in Rat Skeletal Muscle2020

    • 著者名/発表者名
      Ayumi Fukazawa, Atsuko Koike, Takuya Karasawa, Momoko Tsutsui, Saki Kondo, Shin Terada
    • 雑誌名

      Nutrients

      巻: 12 ページ: 1269

    • DOI

      10.3390/nu12051269

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] Effects of ketogenic diet containing medium-chain triglyceride and endurance training on metabolic enzyme adaptations2020

    • 著者名/発表者名
      Ayumi Fukazawa, Atsuko Koike, Takuya Karasawa, Momoko Tsutsui, Saki Kondo, Shin Terada
    • 学会等名
      67th American College of Sports Medicine Annual Meeting
    • 国際学会
  • [学会発表] HIITにおける糖代謝への影響と機序2020

    • 著者名/発表者名
      寺田新
    • 学会等名
      第75回日本体力医学会大会
    • 招待講演
  • [図書] 身体運動科学アドバンスト2020

    • 著者名/発表者名
      寺田新(東京大学大学院総合文化研究科身体運動科学研究室 編集)
    • 総ページ数
      205
    • 出版者
      杏林書院
    • ISBN
      4764412160
  • [図書] 2020年版 スポーツ栄養学最新理論2020

    • 著者名/発表者名
      寺田新(寺田新 編集)
    • 総ページ数
      248
    • 出版者
      市村出版
    • ISBN
      4902109557
  • [備考] 東京大学 身体運動科学 寺田研究室HP

    • URL

      https://sites.google.com/site/shinteradalab/

  • [備考] 東京大学 身体運動科学 寺田研究室 facebookページ

    • URL

      https://www.facebook.com/Shin.Terada.Lab/

  • [備考] スポーツ栄養学学術情報

    • URL

      https://www.facebook.com/academic.information.sports.nutrition

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公開日: 2021-12-27  

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