新型コロナウィルスの影響により,昨年度に引き続き実滑走計測実験を行うまでには至らなかったが,これまでに先行実験によって得られている計測情報の解析を進めるとともに,屋内にて行うことができる検証実験およびシミュレーション,解析を行った. 加速度を中心とした解析をさらに進め,昨年度に構築した遠心加速度とコリオリの加速度成分を用いた解析方法をさらに発展させた,各加速度成分への分離方法についての検討,カービングターンにおける遠心加速度,接線加速度,コリオリの加速度を示した.さらにカービングターンにおける影響が比較的大きいことが考えられる遠心加速度による膝関節への影響についても定量化し,遠心力が生じることにより,膝の靭帯への負担が増加することを定量的に示した.さらに,計測情報から回転半径を推定する方法を構築し,その適用と回転半径推定法の有効性を検証するためのシミュレーションを行った.スキーにおける回転半径はスキー板のエッジングを考慮することによって,自転運動と公転運動の両方が行われており,連続的に変化していること,実滑走情報からカービングターン・スキッディングターンにおける回転半径を推定し,その変化についても明らかにした.これらの成果は,日本機械学会年次大会,日本スキー学会秋季大会にて発表を行い,日本スキー学会秋季大会にて発表賞を受賞した.また,日本スキー学会の学術論文である「スキー研究」に加速度解析についてまとめた論文を執筆・投稿し,掲載された.
|