研究課題/領域番号 |
19K11519
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研究機関 | 愛知教育大学 |
研究代表者 |
鈴木 英樹 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (40235990)
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研究分担者 |
北浦 孝 福山大学, 経済学部, 教授 (00143868)
辻本 尚弥 久留米大学, その他部局等, 教授 (70299519)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 筋萎縮 / 回復 / クレンブテロール / ギプス固定 / ラット |
研究実績の概要 |
本研究は当初は、ギプス固定により萎縮した筋の回復に、活動量と同化作用にあるクレンブテロール投与に影響を調べる計画であった。当初、ラットの活動量の観察には、補助金で購入した活動量測定装置を用いたが、採用した飼育スペースの違いでは活動量の違いによる萎縮筋の回復への影響は観察されなかった。これにより、当初計画していた自発的な活動量の違いを観察するのは少々困難であることが分かった。 そこで、今後の課題でもあった、萎縮程度の異なる筋の回復期における同化作用を有するクレンブテロール投与の影響を調べることに計画を変更した。なお、昨年度購入した活動量測定装置も継続して用いることにした。 令和2年度は、異なる程度の筋萎縮を誘発するために、昨年度行った予備実験の結果を参考にして、後肢両側の足関節を異なる角度で固定するギプスを用いた。足関節角度は右側をを最大底屈位で、左側を底屈0度で固定した。その結果、後肢後方の足底筋およびヒラメ筋は、筋が伸長位された状態より短縮位での固定がその骨格筋をより萎縮させることが確認できた。また、その後の両側の骨格筋の回復の程度は、通常状態での回復において骨格筋の種類のよって異なることが分かった。その結果、萎縮骨格筋の回復は筋の萎縮程度に関わらずほぼ同様だった。さらに、その回復期に筋同化作用を有するクレンブテロールを投与して、回復促進作用を調べた。 現在、骨格筋を構成する筋線維に関して、タイプ別に萎縮や回復を組織化学的に調べている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度の結果を参考にして、固定の際の足関節角度を、右側を最大底屈位、左側を底屈0度とした。その結果、9日間の固定後、ラットの後肢後方の骨格筋は両側とも対照群に比べて萎縮を示したが、その萎縮の程度は左側に比べて右側の骨格筋で顕著であり、筋伸長位に比べて筋短縮位での固定がより筋萎縮を誘発するとした他の報告と一致していた。 下肢後方の骨格筋である速筋の足底筋と遅筋のヒラメ筋を比較した場合、足底筋に比べてヒラメ筋で顕著であり、それらの骨格筋を構成する速筋線維と遅筋線維の萎縮の程度は、足底筋とヒラメ筋間で異なる結果が得られている。 通常回復では、足底筋もヒラメ筋も同等な回復が観察され、さらに、それらの骨格筋を構成する筋線維横断面積の回復も筋線維のタイプでほぼ同等であった。しかし、クレンブテロールを投与した場合、その回復促進作用は、双方の骨格筋において伸長位で固定されていた側に比べて、短縮位で固定され萎縮の程度が大きかった側の骨格筋での回復が促進される傾向が得られている。 今後、さらなる分析が進むことによって、クレンブテロールの同化作用が骨格筋の萎縮からの回復に対して、骨格筋のタイプや筋線維のタイプとどのように関連しているかを明らかにしていく計画である。 また、これらは筋の機能的役割によっても左右される可能性があることから、他の骨格筋に関しても分析を進めていく予定であるが、現時点で、研究は順調に進んでいると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後も引き続き分析を継続する計画であるが、クレンブテロールの回復促進作用は骨格筋の機能と関連したタイプとも関連している可能性が考えられる。したがって、それらの関連をまず明らかにする必要があることから、まずは、現在、サンプルとして保存している他の骨格筋につても分析を進める計画である。
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